香織たちは古代の遺跡に向かう準備を整え、王宮を出発した。エリザベスも公務の合間を縫って同行し、アレクシスの正体に関する真実を明らかにするための旅に参加することを決意した。

道中、エリザベスの表情には深い葛藤の影が浮かんでいた。彼女は勇者アレクシスに対する信頼と愛情を抱いていたが、香織の調査によって明らかになった事実に心を揺さぶられていた。

「香織さん、本当にアレクシスが何かを隠しているのでしょうか……？」

エリザベスは不安そうに香織に尋ねた。香織は彼女の肩に手を置き、優しく答えた。

「エリザベスさん、私たちが調べた限りでは、彼には何か隠していることがあるようです。でも、まだ全ての真実が明らかになったわけではありません。私たちの調査を続ければ、必ず真実にたどり着けるはずです。」

エリザベスは少し安心したように頷いたが、その瞳にはまだ不安の色が残っていた。

「ありがとうございます、香織さん。私もできる限りのことをします。アレクシスが何かを隠しているなら、それを明らかにしなければなりません。」

彼女たちは旅を続け、やがて古代の遺跡に到着した。遺跡は静まり返り、古代の風格を漂わせていた。香織は慎重に周囲を観察しながら、仲間たちに指示を出した。

「セリス、魔法の痕跡がないか調べてください。レオナとダリウスは周囲の警戒をお願いします。エリザベスさん、あなたも一緒に調査を手伝ってください。」

エリザベスは香織の指示に従い、遺跡の中を調べ始めた。彼女は心の中でアレクシスへの信頼と愛情を持ちつつも、香織の推理に耳を傾けていた。

「香織さん、この遺跡には何が隠されているのでしょうか？」

香織は真剣な表情で答えた。

「この遺跡には、アレクシスの過去に関する手がかりが隠されているはずです。私たちが探しているのは、彼が魔王討伐の後に何をしていたのか、その真実です。」

セリスが魔法の痕跡を調べると、彼女は驚いた表情で香織に報告した。

「香織さん、ここには非常に強力な魔法の痕跡があります。誰かがこの場所で大きな力を使ったことは間違いありません。」

香織はその言葉に頷き、さらに調査を進めた。やがて、彼女は遺跡の奥に隠された古い石碑を見つけた。

「エリザベスさん、この石碑を見てください。ここに何か書かれています。」

エリザベスは石碑に刻まれた文字を読み始めた。そこには、アレクシスが魔王との戦いで倒れ、その後に魔王ドラゴンが彼の姿を模して戻ってきたという衝撃的な事実が記されていた。

「香織さん、これは……アレクシスが実は魔王ドラゴンだということですか？」

エリザベスは信じられないという表情で香織を見つめた。香織は静かに頷いた。

「そうです。この石碑には、アレクシスが魔王討伐の際に亡くなり、魔王ドラゴンが彼の姿を模して戻ってきたと書かれています。」

エリザベスはその事実に衝撃を受け、涙を浮かべた。

「そんな……アレクシスが本当に魔王ドラゴンだったなんて……」

香織はエリザベスの肩を抱き寄せ、優しく言った。

「エリザベスさん、私たちは真実を知ることができました。これからは、その真実を基にして行動しなければなりません。あなたの信頼と愛情は、本物のアレクシスへのものであったことを忘れないでください。」

エリザベスは涙を拭いながら、決意を固めた。

「ありがとう、香織さん。私たちが真実を知ったからには、王国を守るために全力を尽くします。」

香織たちはアレクシス、いや、魔王ドラゴンの真の目的を暴くため、さらに調査を続けることを決意した。彼女たちの前には、さらなる謎と冒険が待ち受けていた。