エルフの科学者は地球帰り
さる☆たま
第1話 地球帰りの女
拝啓、我が愛しき悪友ども――
こちらは、日射しの角度から目算して大体お昼ちょい前辺りでしょうか。
わたくしアウルミア=オレイカ=ルコス=エル=ゴルドンは、このたび『
祝え――
とまぁ、挨拶はこんなもんで良いでしょう。
手に持った極薄のカードのような金属板の上、宙に浮く羊皮紙のホログラムに記された文字を確認すると、わたくしは一言「
すると羊皮紙は筒状に丸まった後、青白い炎に焼かれて焼失しました。
それを確認してから、わたくしは
不意に風が舞った。
左の片眼鏡にかかるプラチナブロンドを払い、わたくしは故郷の空を見上げました。
日差しのまぶしさに自慢の
昼間から星が瞬く
それが、この『
「ただいま、懐かしき我が故郷」
自ずとつぶやきながら、わたくしはこれまでの日々を振り返る。
わたくしが地球に転移してから、だいたい五千年くらいでしょうか。
思えば、長らく
と言っても、たかが数百年程度の差に過ぎませんが、思春期を含む多感な時期をずっとそちらで過ごしてきたのですから、それなりに愛着がわくもの。
動画配信とかやってた頃など、それはもうチヤホヤされてたし、ファン登録も軽くギガいってましたからねぇ。
思えば、あの頃が一番楽しかったですなぁ(しみじみ)
まぁもちろん、いい思い出ばかりじゃなかったですけどね。
どこぞの領主の息子には耳を引っ張られたりエラい目に遭わされましたし、魔女狩りにも遭いそうになって逃げ隠れたり、それはもう色々と……
まぁ日頃の行いの賜物か、幸運にもなぜか貞操の危機だけは免れましたけどねっ!
いやホント、わたくしのように知性的で神々しき美貌の持ち主(自称)が飢えた狼のような連中に襲われなかったのは奇跡に等しい確率でしょうし。
とはいえ、それから色々あって短い間ではあったけれど
まぁ、他愛ないモノローグはこのくらいにして……
わたくしは、成長著しく(なる予定の)マルテア(悪友その一)からは「ぺちゃこうてかいらしなぁ(意訳:小っちゃくてかわいいなぁ)」と絶賛の胸を張ると、眼前にそびえる聖山を指さして宣言します。
「いざ、あの山を越えて懐かしきエルフの森へ!」
その時でした。
ふと、山頂の方で一瞬何かが光ったように見えたのです。
「え、何の光?」
けれど、その光はすぐ消えてしまいました。
誰か魔法でも使ったのだろうか?
わたくしがそんなことを思った矢先のこと。
不意に巨大な影が空を覆ったのです。
その影の正体は——
「
それは、頭にぶっとい一本角を生やし、刃を通さない岩の鱗を持つ巨大な魔竜——六つの悪しき竜族——その一角。
それが遥か頭上から、わたくしを見下ろしていました。
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