第11話 菊花賞

「カキメのスタートが早い

内からミララミも行く

二冠馬フリクリは中団といったところです


最初の3コーナーをミララミが先頭で通過しました

番手でカキメ

そのあとをハヤイが続きます


最大の注目フリクリ

完全無欠 無敗の二冠馬フリクリは丁度真ん中

中団です


3コーナーを回って向正面に入ります

フリクリのすぐ後ろにマンマ

ベテランジョッキーのショウがピタリ折合いをつけます


2番人気のクラッシュは後方3番手に構えました

鞍上はゴーゴー

先週サイダーに秋華を手渡ししました


最後方がトホ


1周目の4コーナーを回ります


変わらず先頭はミララミ

その2馬身後ろを唯一の牝馬カキメ

新人ジョッキーのツヨチのG1初参戦の勇姿が映えます


1000mを60.1secondsで通過しました


正面スタンドに入り声援がうねる

フリクリが変わらず隊列の中団を疾走する

この世代の中心は俺だと誇示するばかりの栗毛がファンの目の前を駆け抜ける

リーディングジョッキーバツクとの最強コンビ

今日はどんな王者の振る舞いを見せつけるか


2周目1コーナーに差し掛かります

セントライト記念の覇者マンマがフリクリの後ろをマークします


その後ろをツヨイ、ユルシテ、シミアキが駆け抜ける


2番人気クラッシュは後方でじっくり構えて

2周目向正面に入ります


最後方はトホ


悠然と18頭がターフを駆ける

隊列は15馬身といったところだ


さあ、2周目3コーナーから最終コーナーへ

最後の一冠は

フリクリの3冠戴冠式となるのか

それとも」


新人リーディングのツヨチが先頭に躍り出る

総合リーディングのバツクが楽な手綱捌きで差を詰める

ベテランジョッキー燻し銀ショウはバツクを徹底マーク

剛腕ゴーゴーが後方から手綱を扱く

最終コーナーを抜けて鞭一発


新人ツヨチが粘る粘る

前など見ない、必死で新人が行く


最終コーナーで、分かれた

リーディングジョッキーのバツクは進路を外にとった

バツクを徹底マークしたベテランショウは京都の外回りと内回りの合流地点、ラチが外れるこのポイントを深く深く颯爽とインに切り込んだ

剛腕は馬に身体を張り付けるばかりの追い方で追い通しだ


新人は朽ちた

剛腕はムチを振り上げず目一杯腕を揺り動かす


リーディングジョッキーとベテラン燻し銀が内外を激しく攻防した、鞭が畝りを上げる


・・・・


マンマが最後の一冠をもぎ取った

5戦5勝で皐月賞、日本ダービーを制したフリクリに

初めて土をつけた


皐月、ダービー共に2着だったタッタラーに騎乗していたショウは彼の凱旋門挑戦にも伴い5着だった


菊花賞でマンマの乗り役が回ってきた

春の二冠でどうやっても敵わなかったフリクリを、

マンマという新パートナーと破った


46歳の燻し銀の笑顔は、

はちきれんばかりで若々しかった


快晴の秋空、良馬場

2032年第93回菊花賞




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