第33話 足立美術館
どんより曇り空。天気は悪いがとうとうやってきた、足立美術館。入り口の横には和風庭園風の飾りつけ。すでに和テイストの雰囲気満載だ。
さすがに混んでいる。言っては悪いがこの辺にはこの美術館しかないような所なのに、人がこんなに集まっているとは。まあ、今のシャトルバスに乗ってきた人たちが一斉に入るのだから仕方がないか。
私は前述したように、ガイドブックに付いていた電子レジャーチケット用500円クーポンを使って、既に足立美術館のチケットを購入していた。そう、ここに来る事はマストだったのだ。これまでの施設は300円とかそんなチケットだったが、足立美術館は2300円。その500円引きだから1800円で購入したわけだが、無駄にしては勿体ない。
電子チケットの良いところは、チケットを失くす心配がない事だが、その場の電波状況が悪い場合にQRコードを表示できないかもしれないという心配がある。そして、ネットに繋げるからパケットを使ってしまうという事もある。それで、私はいつも家でQRコードを表示させ、その画面をスクショしておくのだ。そうすれば、写真のアルバムからオフラインで出せるから。
事前にチケットを購入しておけば、窓口で並ばずに入れるというイメージがあったが、ここはそうではなかった。窓口には並ぶ。購入する人はそこでお金を払うのだが、既に払ってある私はスクショしたQRコードをピッとやって、パンフレットをもらった。
この窓口の近くに、シャトルバスの整理券が入っている箱があった。時間ごとに分かれた箱に札が入っている。安来駅を14:57に出る電車に乗りたいので、14時と書いてある整理券を取った。皆さん先に取る人はあまりいないが、確実に乗るために、美術館の展示を見る前に取っておいた。用意周到な私。
庭園が有名だという足立美術館。建物自体が細長く、所々に庭園を見る為の大きな窓ガラスがある。何でも、アメリカの日本庭園専門誌(そんなものがあるのか!)の庭園ランキングで19年連続日本一に選ばれたのだそうだ。
私はてっきり、広い庭園の中を歩いて見学するのかと思っていたのだが、ほとんどが建物の中から眺める為のもの。ところどころ外に出て眺められる所もあるのだが、それも軒先に出るだけで、庭園の中を歩くわけではないのだ。
魯山人や横山大観の展示室があり、そこを見て出てくると、また外を眺める場所が出てくる。外から家の中を覗く場所があって、その掛け軸のような形の穴の向こうは本物の庭園、なんていう趣向の展示もあった。つまり、天然の掛け軸というやつか。でも、外が明るいので掛け軸が光っている感じ。まるで電子掲示板か何かのようだ。今の人ならそう思ってしまう。一応写真に収めたが、掛け軸が真っ白に写っただけだった。
それにしても、庭園は美しい。丸く刈られた植え込みと、様々な形の岩。芝生、そして大きな木もある。それから白い砂利。つつじだろうか、所々花も咲いている。まあ、花は少なめで、圧倒的に緑色が多いが。確かに、これだけ大規模に作られた日本庭園は、他に知らない。西洋の庭もいいが、日本庭園もいい。あの丸っこい植え込みは、どうしてこんなに可愛いらしいのだろう。なんというか、まろやかさを感じる。
その他、今活躍中の新しい画家の作品もたくさん展示されていた。順路の最後がそういった新しい画家の、「足立美術館賞」を受賞した絵画だった。大きな絵がたくさんあった。考えてみたら、この美術館の作品は、全て日本人画家による作品だった。これはけっこう珍しい気がする。外国を描いた絵や、外国人の絵もあったが、作者は全て日本人だった。海外の旅行客向けに特化した美術館なのかもしれない。実際には、日本各地から日本人がたくさん訪れているわけだけれども。
10時半頃に入ったが、約1時間で見終わった。11時半である。美術館の中に1つだけカフェがあって、だいぶ混み合っている様子だった。そのカフェは順路の途中にあったので、カフェに入っている人は、展示を見ている途中で休憩をしているのだろう。私は見終わったので外に出た。お昼はやっぱりあれでしょ。
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