最狂の異能力者
翔
プロローグ
1
「ふわぁ〜……」
突然だが、学校とかいう素晴らしくつまらない存在をご存知だろうか?
無駄に早い時間に起きて、勉強、勉強……
何が楽しいのだろう??
家を出て綺麗に整備された通学路を一人で歩きながら、文句をたらたらと述べていた。
すると、「ピコン!」とスマホが鳴った。
「フフフ…アハハハ!!!」
その通知音に俺のテンションは爆上がりだ。
その理由とは。
そう、学校がサボれるからだ!!
しかも、違法じゃなくて合法で。
なんでやねんと疑問に思ってる人間が多いと思う。
まぁ、落ち着いて。
後で、ちゃ〜んと教えて差し上げるのでね…
ってことで、無知な君たちにこの世界について優しい俺が教えてあげようじゃないか。
まず、前提としてここは日本であって日本じゃない。
何言ってんだコイツとどうせ思ってるだろ?
俺も何言ってるか分からん。
だが、そうとしか言いようがないからしょうがない。
それはそうとして、いつかは定かじゃないが、昔この世界に異能と呼ばれる力が発現された。
理由は分からないが、およそ千人に一人の確率で異能力者が生まれる。
遺伝とか関係なしに、突然な。
異能と言われてピンとこないと思うが、超能力だと思ってくれていい。
異能には種類がある。
大まかに攻撃型、防御型、サポート型の三つである。
攻撃型は文字通り、攻撃するのに適した異能だ。
有名なので言うと、炎の異能だとか色々。
本当にそのままの異能なので特に言うことなし!
防御型はもうそのまんま。
防御だけに特化している、ハズレ異能だ。
だって、防御が出来るようになるだけ。
ガチで弱い。
だが、そんな防御型にも例外はある。
鏡の異能なんて言うなかなかにチート異能があるからな。
だが、基本ハズレ異能なのは間違いない。
サポート型はまた二つに分類される。
個人型と協力型だ。
個人型は自分しか効果を受けない。
協力型は他人にも効果を付与できるというモノだ。
便利だねぐらいの認識で構わない。
ちなみに、サポート型が異能で一番当たりだと思う。
特に身体強化系。
以上が、異能においての三つの型だ。
うん、一応説明はしたけど、正味誰もこんな区別なんかを気にしてない。
大事なのは、心つってな!!
はい、話を戻しまして一番大事なことなんだが、異能持ちが生まれた場合、異能は必ず一つ持って生まれる。
決して、二つ持って生まれてはこないのだ。
だが、ある時二つの異能を持つものが生まれた。
世間には公表されず、隠された存在だけどな。
でも、異能を二つ持っていると言うことは絶対にありえないことだ。
しかし、それが存在している。
ここまで言ったんだ。
頭の良い皆さまならお分かりだろ?
……え?分からない?
ど、どうせ分かるから……
知らんけど。
さて、時を戻そう。
なぜ学校をサボれるかだが、仕事だからだ。
「とうちゃ〜く!!」
俺は今回の目的地、銀行にやって来た。
異能という人智を超えた力を持つと人間は調子に乗るのかよく分からないが、悪の道を進む。
で、その一つが銀行強盗と。
「まだ、あいつは来てないが…まぁ、いいか」
銀行から出てきた犯罪者の見た目は大柄。
そして、生身。
小型ナイフを持ってる可能性はあるが、大方武器は拳かな。
つまり、身体強化の類か。
ま、一瞬で終わるだろう。
「止まれ!」
「カッカッカ!!雑魚どもが!!」
一般の警察の人が頑張ってくれてるようだ。
このままことが終わればいいけど、異能力者に一般人が勝てるわけない。
そこで俺の出番だ。
「よっ!私が来た!!!」
「「………」」
銀行近くの建物から飛び降りて、かっこいい登場をしたはずが、辺りが静かになってしまった。
おかしいな。
「あ…?舐めてんのか?ここはガキの遊び場じゃねぇんだよ。ヒーローごっこがしたいなら消えろ」
思いっきり正論が飛んで来た。
ごもっともで…
帰りたいのはやまやまなんだけどね…
学校サボれるし、あとついでに仕事だし。
「なぁ、おっさん。自首しない?」
「…死ね!」
「…えぇ」
一切の躊躇いがなさすぎる。
ワイびっくり。
気づいた時には、目の前におっさんがいた。
「お、速い!」
俺の顔を殴ろうとしたのか拳を突き出して来た。
「なっ!?」
でも、その拳が届く前に俺はおっさんの腕を掴む。
「なかなか速いじゃん!ま、俺には及ばないけど」
「うるせぇぇぇぇ!!!」
「わわ!!」
おっさんが急遽暴れ出して、掴んでいた腕を離してしまった。
そして、おっさんは距離を取るために後ろに下がる。
にしても、あの速さは面倒だな。
「なんの異能だ?」
「ハッ!俺の異能はスピードだ!!」
「…なるほどね」
あ、そのまんまなんだ。
なら、速くて当たり前か。
つか、その異能でよく銀行強盗出来るな。
そこは、尊敬する。
いや、しちゃダメか。
「うんうん。自首しよっか?」
「だから、しねぇつってるだろうがぁッ!!」
そして、おっさんは全速力で俺の後ろに回り込む。
大概の異能力者ならあのスピードに追いつくなんて出来ないが、俺は見えてんだよね〜
「そろそろ、あいつ来そうだし早々に終わらそうかな…」
「死ねぇぇええ!!!!」
俺は異能を発動させた。
そのまま突っ込んできたおっさんを地面に叩きつける。
「戦場じゃ大声は命取りだぜ?」
「ば、化け…物…が……」
そう言っておっさんは力尽きたように倒れた。
おいおい、人のことを化け物とは失礼な。
とりあえず、事件解決ということで一息付いていると、背後から声がした。
「
「ふぁっ!?!?!?」
俺としたことが、気配に気づけなかっただと…!?
「な、なんでしょうか…?有栖川さん…?」
皆さんお待ちかね、あいつこと
有栖川白亜といえば、日本最大の大手企業有栖川グループのご令嬢様だ。
地毛なのか分からん銀髪で、人形のような整った顔立ち。
誰もが見惚れてしまうようなプロポーションの持ち主。
しかし!!
中身は阿修羅。
見掛け倒しも甚だしい。
「何か失礼なこと考えてないかしら…?」
「い、いえなんでもありません!」
怖いよぉ〜
なんで、俺の心読めるの…?
「はぁ〜」
「そんなため息をついて、どしたん?話聞こか?」
ここで俺のとっておきのイケメンスマイル!
これには、流石の白亜も落ちたはず…
「やっと着いたと思ったら、すでにあなたが全部終わらせてたことについてよ」
「その節はすみません!」
だって、早めに対処したほうがいいかなと思って…ね?
「別に怒ってるわけじゃないわよ。ただ、一人で無茶しないで」
は、白亜さん…!!!
「あなたに何かあって不利益を被るのは私なのよ?」
最後ので台無しだよ。
俺の感動を返してくれ。
「そもそも、俺が負けるわけないだろ?」
「ええ、悔しいことにね…」
なぜ悔しがる。
誇れよ!
相方が最強だぜ?
「あ、そうだった。本部長に呼ばれてるわよ」
「もっと早く言えよ!!」
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