第86話は、単なるバトル回に留まらず、レッドキャップという種族の悲劇と誇りを掘り下げる濃密なドラマが展開される一章だった。
レリクとクジャラの戦いは、互いの力量を認め合う職人同士のような静かな敬意と、命を懸けた殺気が同居している。
戦闘中に雑談のように交わされる会話が、逆に二人の生き様を際立たせていて、読者は「この戦いはただの敵対ではない」と自然に理解させられる。
特にクジャラの語るレッドキャップの過去は圧巻。
善良な妖精が、差別と迫害によって“赤帽子”へと堕ちていく過程は、残酷でありながらも説得力がある。
「罪を上塗りする覚悟で血を帽子に染める」という描写は、彼らの歪んだ誇りと悲しみを象徴していて胸に刺さる。
そして後半では、ユーリエの絶望的な状況が描かれ、物語全体の緊張感が一気に跳ね上がる。
仲間は洗脳、ベルディグは隔離、ユーリエは拘束。
“詰み”に近い状況で、なお抗う彼女の姿が読者の感情を揺さぶる。
戦闘の熱さ、種族の悲劇、そして絶望の中の抵抗。
シリーズの中でも特に密度の高い、読み応え抜群のエピソードだった。