双子と食事と風呂と


「あにき〜〜!」「…おか…!…えり…!」

「ぐはっ!……この前も突っ込んでくるなって注意しなかったか2人共…?」



 突っ込んで来た塊の頭を片方は押しやり、もう片方はゆっくりと押しながら俺はそう言った。



「あら貴方子持ちだったの?」


「違う違う…コイツらはロビンとロイ、スラムここに来てちょっと経った時に絡まれてたのを手助けしてやったら懐かれちまってな…」


「ロビンっす!…ってうわっ!でっっっ!えっっっ!あにき!この美女2人は誰なんすか!?あにきのコレっすか?!エロエロっすか!!エロエロなんすか!?」

「…すご…びじ…ん…!」



 このマセガキ共はエインシェントとエステルを見てぎゃあぎゃあ騒ぎ始めた…ただでさえ目立つってのに…!



「あら2人共ありがと♪」

「ほほう!お主ら分かっておるではないか!」



 エインシェントは双子の感想を気に入ったのか2人の頭を撫でくりまわしていた。

 双子の髪は、オイコスの底で陽光を知らない煤けたアッシュブラウンだが、ロビンの髪は無造作に跳ね、ロイの髪は細く静かに垂れていた。



「よし!眷属よ!この子らに褒美を馳走してやろうぞ!はよ用意いたせ!」

「眷属ってどういう事っすかあにき!?そんな高度なプレイを真っ昼間っからなんてやっぱエロエロな関係なんすかっ!?」

「あら貴方お腹減ってるの?じゃあお姉さん達と食事にしましょうか!」

「…たべもの…!たべる…!」

「分かったから騒ぐんじゃない!さっさと移動するぞ!」




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「はぁ〜…やっと騒がしいのが居なくなったか…」



 スラムの中程にある雑居ビルのそれなりな広さの一室、そこが俺の拠点だった。

 トイレに風呂も付いていてスラムにしては上等な部屋をたまたま見つけることが出来たため、何箇所かある拠点の中でもここを主に使用している。



「にしても…食い過ぎだろう…あの身体の何処にこんな入るんだ…」



 俺はそう呟きながら机に空けられた保存食やフード・シンセサイザー用の材料パックの山を見つめていた…

 ここに着いた途端双子が食事を用意し始め、エインシェントとエステルがフード・シンセサイザーに驚きながら食事をして(エステルは上品に、エインシェントは不味い不味い言いながら一番食ってやがった…!)今は4人で風呂に入っている…というよりは俺が入らせた…双子は少し汚れが酷くなっていたし、魔法使い2人も土埃の舞う惑星表面や数百年物の古代戦艦をうろついたので見た目は汚れて無くても風呂に入ってさっぱりした方がいいだろう。



「終わったっすよ!あにき!」

「…さっぱり…きもち…いい」

「「……」」



 4人共それぞれ汚れが落ちて綺麗になって出て来たが、エインシェントとエステルは何故かムスっとした表情だった。



「んっ?…どうしたんだ2人共?風呂が合わなかったか?」

「なんかあねさん達一緒にお風呂入ったらこんな感じになっちゃったんすよ〜…」

「…おふろ……いや…?」




「おいカイン!なんじゃここの風呂は!いや!風呂という別物の何かは!」

「そうよね!さっぱりはしたけど何か違うわよね!魔族も感性一緒で良かったわ!」



 コイツらは何を言ってるんだ?風呂って言ったら…



「なんだよ?ナノマシン洗浄ドライ・バス・システムでさっぱり出来ただろ?何をそんなに…」


「なんじゃそれは!!そんなもん風呂とは言わん!!風呂とはこれだ!」



 エインシェントはそう言うと指を鳴らしたと思ったら空中に映像が映し出された。

 見るからに温かそうなお湯に真っ赤な花びらが浮かび、そこでエインシェントが優雅に浸かりながら掲げた腕を周りの女達が何やら手入れをしている…って何だよこれは!



「おいっ!エインシェント!何だよこの水の無駄遣いは!!それに1人で入るのにこんなに広さ要らないだろう!」

「うっはぁ〜〜!あねさんも周りの女の人も美人さんばっかりっす!あにきもこんな人に飼われる事になっちゃったんすねぇ…」

「……ごうか…けんらん…」


「飼われとらん!……まさかエステルもこんなのに入るとか言わないよな!?」


「流石にここまでとは言わないけど…湯船には浸かりたかったわ…」


「あのなぁ…コロニーじゃ水資源の循環コストがバカにならないんだ、普通はナノマシンの分解と気化回収で水を使わないシステムなんだよ…毎回湯船に浸かるなんて贅沢は、それこそ同盟や帝国の首都星クラス住まいじゃねえと出来ねえよ!」

「はぁ〜…未来世界は味気無いわねぇ…」

「いやじゃ!いやじゃ!薔薇の花びらをたっぷり散らした溢れる湯船にたっぷり浸かって髪や爪の手入れを女官にしてもらわないと入った気がせんわ!い〜や〜な〜の〜だ〜!ゆ〜ぶ〜ね〜!つ〜か〜る〜!」



 俺がそう説明すると、エステルは椅子に座り込んで机に上半身寝そべりながら、エインシェントは床に転がって駄々を捏ねまくりながらそう言ってきた…



「はぁ〜……コイツらの思う贅沢叶えようとしたら金がいくら掛かることやら…」


「でもあにき、こういうのは男のかいしよーって奴じゃないんすか?」

「…ちが…うの?」

「絶っっ対違う!!……お前達はコイツら見習っちゃ絶対駄目だからな?」


「り、了解っす…」「…うん…わか…た…」





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