第10話出演バラエティ番組、暴走する父母、そして実況する赤子

テレビ番組家族パワーMAX!芸能人一家スペシャルにて。


MC「本日は豪華ゲスト! 元アイドル同士の夫婦と、その“泣かない伝説の双子”が登場です!」


スタジオが拍手に包まれ、両親が登場。

父・仁は元KO1のセンターとして全力のウィンク。

母・飛鳥は元レイジーメタルとして、今なお音速のキラースマイルを炸裂。


そしてベビーカーに乗る俺とツカサは、沈黙をもって存在感をアピールしていた。

(冷静に考えてくれ、俺たち赤子だぞ……)

(しかも生後8ヶ月でテレビ出演4本目って、職業欄がもう“タレント”じゃん……)


MC「それにしても、新田家の皆さん、仲良しですよね〜!」


父「仲良しっていうか、もう魂の共演者ですよ!」

母「毎日がライブ! 毎日が撮影! 家がセット♡」


すでにスタジオは若干ひいている。

だが仁は止まらない。


「僕はですね、もう娘にプロポーズしてます」


MC「……は?」


「ええ。ツカサが2歳になったら、撮影現場で“僕と契約して家族になろう”って言う予定で」


MC(番組史上最速で表情が無になる)


ツカサ「……ばぶ(却下)」

俺「ばぶ……(そして同意)」


母・飛鳥はそれでも動じず、写真集の表紙撮影について語る。


「この前、ベビーカー越しに優がカメラ目線したんですけど……カメラマン泣いてました。あれは日本の未来、感じたって顔でしたよ♡」


MC「それは……日本の……未来を?」


父「我が子はね、“天才”じゃない。まるで“天災”」


スタジオの空気はもはや哲学。


そして突然、母が立ち上がる。


「今夜は歌います! 家族ユニット《ニッタツインズ & The親バカズ》、デビューします!」


スタッフ「え、聞いてない聞いてない」


だが収録は止まらない。

音響が流れ、飛鳥が歌い、仁が踊り、俺とツカサは謎の光るガラガラを振る。


その夜、SNSにはこう記された。


> 『地上波で“語幣圏”とか言っててバラエティ迷子』

> 『赤ちゃんの無表情演技、あれすでに表現者でしょ……』

> 『新田一家、全員キャラ濃すぎる。なんで赤ちゃんが沈黙で笑い取ってるの』


俺たちの物語は止まらない。

そう、赤子でも語れる時代が——幕を開けている。

収録中、カメラマンがそっとスタッフに耳打ちした。

「仁さん、あれ本気で踊ってますよ……ていうか、今のターン、構成台本にないです」


音声スタッフ「もはや収録じゃない。これは“生きざま”だ……」


番組ディレクターは遠くを見つめながら、ただひと言。

「……編集、任せた」


後日、編集室では担当ADが白目でつぶやいた。

「“ばぶ却下”のタイミングが神なんですけど……笑っていいのか、泣けばいいのか……」

チーフ「いいから“天災”の字幕は赤フチ金縁でお願い。今夜は赤子が主役だ」



💬 コメント欄まとめ:《家族パワーMAX!芸能人一家スペシャル》放送後の地上波震撼ログ 💥


---


🧠【視聴者A】

飛鳥さんの「日本の未来感じた」って、笑うとこじゃないのに泣いた……

あのカメラ目線、マジで言葉持ってた。赤ちゃんなのに語ってるの、怖い。尊い。


👨‍👩‍👧【視聴者B】

仁さんが「魂の共演者」って言った時点でスタジオの温度おかしくなったよねw

そして娘にプロポーズって、軽率に社会倫理が天候不良。


🐣【育児垢C】

ばぶ(却下)→ばぶ(同意)の流れ、脳が震えた。

うちの子も無表情演技磨いてほしい。新田ツインズ、育児の指標を超えてる。


🎬【番組編集者D】

「編集、任せた」って現場で言い放ったディレクターの顔、今でも夢に出てくる。

“天災”字幕の赤フチ金縁、まさか採用されると思わなかったけど……最高だった。光ってた。


🌀【考察垢E】

ツカサのガラガラ振りの間が完璧すぎて「演出」ってなった。

仁さんの踊りが“構成台本にないです”って言われた瞬間、語られすぎの象徴になったわ。


📈【芸能トレンド速報F】

「新田一家=地上波の地形変動」って誰か言ってたけど本当だったな。

あれ以降、テレビ欄が彼ら中心になってる。もはやジャンル:家族。


💡【視聴者G】

なんで赤ちゃんが沈黙で笑い取ってんの……?

何回見ても、あの“間”と“視線”だけで爆笑できるの、技術じゃなくて概念。


📲【オタク垢H】

《ニッタツインズ & The親バカズ》の楽曲、どうせ出るでしょ。ガラガラでリズム刻むやつ。

初回特典に“ばぶ語翻訳ブックレット”ついてたら買う。


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🍼 そしてコメント欄最上位はこれ:


>「この一家、芸能じゃない。“日本の未来”ってこういうことだったのかもしれない。」


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