雨を乞い、天を恋う

大人というにはまだ幼く、子供というには成熟している。
大人と子供の間にある、どちらともつかない繊細な時期に、命という愛を全て背負って、これからを生きて行く。

同じ年齢の二人の少女。
雨が降らず、贄を出すこととなる。
どちらが選ばれるか分からない中で、死にたくない、かといって死なせたくもないと恐怖し、葛藤し、下された決定に安堵してしまい、それ故に後悔する。

小さな箱庭の中で育まれた友情と愛情が、確かにそこにあったのだと伝わってきます。

だからこそ、ラストの展開が切なくも美しい。

タイトル通りに、これからの鈴は、雨が降るたび「恋う」のでしょうか。

生きるという事を改めて考えさせられる作品です。
是非読んでみて下さい。

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