第162話 光を見た
光を見たとキミは言うのだ
この鬱陶しいほど澱んだ空気
誰も上なんて見ない
うつむき加減のヒトの群れ
なのに確かに見たと。
きっと見間違いだ、とか
幻を見たんじゃないか、とか
他の人は言うかもしれない
でも僕だけはそれを信じてみたくなった
だってそういうキミの顔が
あまりにも柔らかくほころんでいたから
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