第127話 ガソリン


脳内に蔓延るマイナスな言葉が

体の求める自由を遮っている

動けないのは心と体

自由に翔ぶことなんて

もうとっくに諦めた


順当に日は暮れる

毎日毎日ごく当たり前のこととして


ふと思った 

ここに両手両足を縛られたまま

迫りくる夕暮れを無言で待つのか

そしてそれは

どうにも耐え難いことに思えた

翔べないことよりも何よりも


誰か甘い甘い飲み物を

このカラカラに渇いた身体に

焼き付くような甘さを

脳内のマイナスをぶち破り

四肢の枷をぶち破るガソリン


やがて僕は飛ぶだろう

不自由な手足を羽ばたかせ

そして大地に叩きつけられるだろう

不器用な笑顔で

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