ep4.Happy Regalo's Day feat.マヒル&アサカ
*マヒルside*
「レガーロデー」
その言葉がリンネの口から出た時、真っ先に浮かんだのは、ディアボロスが余計なことを言ったことに対しての怒りだった。
あたしはイベントごとに関心がない。
あることは知っていても、自分には関係ないとしらをきってきた。
もっとも、これまでの話だけど。
「こ、こっちが髪をくくるやつで……こっちはまとめるやつ!? ヘアアクセだけでどんだけ種類があるのよ!!」
「お主が言ったんじゃぞ? 装飾系が欲しいと」
「そうは言ったけど、こんなにあるなんて思わないじゃない!!」
あいつと恋人になった今となっては、そんなこと言ってられない。
だからあたしは、こういう話に敏感なリンネに知られる前に、さっさと渡してしまおうと、一週間前に思い立ったのだ。
「しかし、こうも陽が強い日にわしを呼ぶとは、嫌がらせにも程がある。吸血鬼にとって、太陽光は毒じゃというのに」
日を下ける傘を差したルシェが、あくびまじりにいう。
本当は、頼りたくなんかなかった。こんな奴、あたしにとっては、負けたくないライバルだから。
それでも、呼びたかった。呼ぶしか、なかったのだ。
「仕方ないじゃない! お店は昼しか空いてないんだから! あいつに似合いそうなものを選ぶなんて、あたし一人じゃ荷が重いの!」
「はて、お主は一度、わしと勝負するという形でサヨに渡すものを選んでおるではないか。あの時と同じように選んだら良いではないか?」
「ダメよ! 同じじゃ絶対ダメ! 付き合って初めて贈るものじゃない……ちゃんと選ばなきゃ、あいつに合わせる顔がないわ……」
恋人なんて戦いの邪魔、こんな気持ちは気のせい。
今思えば、つまらないプライドだ。
あいつはあたしを、どんな気持ちで待っていたのだろう。
一緒にいると、思い知らされる。彼女が、あたしをどれだけ好きなのか。そして、自分がどんなに彼女を好きだったのか。
今までなんの意味も感じられなかったレガーロデー。だからあたしは、この日にー……
「カッカッカッ!! なんじゃ、そんなことを気にするのか! マヒルの癖に、かわいいのう」
「か、可愛いっていうな!! っていうか癖にって何よ!」
「ほんとお主らは、揃いも揃って不器用じゃのう。こういうのは物ではなく、気持ちの問題じゃ。その気持ちを、素直に言えばよい。もっとも、お主にはそれが一番難しいじゃろうが」
「う、うっさい!!」
「それなら、わしがとっておきの策を用意してやろう。恋人となったお主に、せめてもの褒美じゃ」
ルシェの耳打ちが、あたしの心を刺激する。
やるしか、ない。そう決意したあたしは、店にあったよさそうなものを持って、その場を後にしたー
*アサカside*
「アミ。本日より一週間後はレガーロデーです」
私の朝は、彼女の1日のスケジュールを読み上げることに始まる。
それが今日ではなく、一週間後の話をするのはもちろん彼女に意識させるためである。
「あー……そういえば、そんなのがあったねん。で、なんでわざわざ今朝言ったのかなん?」
「私の知る中で、最もイベントごとに無頓着だからです。巳胡様はカウントダウンすらしてました」
「あー、あの人ならやりかねないねん」
レガーロデー。好きな人に、好意や伝える日。
勿論それは、付き合っているいない関係ない。
あの魔王様ですら、隣国まで出向いてまで選ぶほどだ。意識しないわけがない。
私にとって、初めて好きな人と交わせる催事なのだから。
「お二人のあの様子的に、いつお嬢様の耳に入るかわかりません。というわけで、先手を打とうと思います。こちら、私からの贈り物です」
「えっ、贈り物って、もう準備したのかい?」
「アミの欲しいものなんて、私にとっては朝飯前なのですよ」
私が彼女に選んだのは、いつも身につけているメガネである。
彼女のメガネは、錬金術師故に壊れやすい。そこを狙ってのチョイス。我ながら名案だ。
「おお、メガネか。ちょうど、買い換えようと思っていたんだ。さすがアサカ、おいらのことよくみてるね〜」
「アミに、私の選んだものを身につけて欲しかったんです。これなら私がいなくても、私のことを身近に感じていただけると思いまして」
常に私のことを、思ってもらえる。それが、私の狙い。
そして、そしてもう一つ、一番の目的はー
「ところで、レガーロデーは、恋人同士が送り合うものと聞きました。アミから私には、何も贈り物はないのですか?」
「いうと思った。生憎おいらは今手持ちがなくてねん。一週間後には用意するから、それまで待って……」
「待てません。鼻から、待つつもりありません。今、欲しいのです。あなたからの愛が」
わかっていた。恋人であろうとなかろうと、アミがイベントに無関心なこと。
一週間後には言ったことすら忘れ、用意しないこと。
そして、現時点で用意していないことも、全部。
計算だと言われてもいい、それだけ私は、あなたのことで頭がいっぱいなのだから。
「…… はぁぁ、まったくちみはどこでそういうことを覚えてくるのかにゃ?」
「はて、なんのことだか。さあアミ、私に熱いハグのプレゼントをしてください」
「はいはい。ほんと、ちみには敵わないや」
私があげたメガネの下の瞳が、困りながらも照れたように笑う。
アミの熱を、身体中に感じる。
その熱を逃さないように、私はさらに彼女を抱き寄せたー
(Continue to next character
Next update at 3pm……)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます