これが私の第一話
あの出来事から、早いもので百年ほど経った……ような気がする。
いや、本当に「気がする」だけなのだが、体感的にはそんなものだろう。
それはさておき。
あのとき助けた?少年――なぜか私にひどく懐いてしまい、気づけば弟子入りを申し込まれていた。
断る理由も特になかったので、まあ、受けてしまったわけだ。
これまでの人生では皆が、
私とは距離をとり(高嶺の花過ぎて)
友達も出来ず(恐れ多くて)
弁当も一人で生徒会室で(ぼっち)……
あれ?目の前がぼやけて。
まあ、それは置いておこう。
思い出したら、うごごごご。(脳破壊)
何にせよ、この少年は私の放つ覇気にも怯まず、堂々と弟子入りを願い出てきたのだ。
なかなか肝が据わっている。
無下には出来まい。(わくわく)
しょーがなく、弟子入りを認めた。(にやにや)
それに、この少年――どうやら魔法の才能があった。
私が教えたことを、まるで乾いた砂が水を吸うように次々と吸収していく。
こやつ!やりおる!そういえばあのアニメの修行方法はと、色々と実験ゴホンゴホン!そうやって修行をつけていたら
気づけば、実力は私の次くらいにまで成長していた。
試しに鑑定用の魔道具(職業のみ)を使ってみたところ、表示された職業は――
《大賢者》。
むぅ、その称号は私が欲しかったのだが、
まぁ可愛い弟子だからしょうがない譲ってやるか。
ちなみに、私の職業は《魔神》であった。
(ドヤァ)
なんなのかと聞かれたら……まあ、魔法の神みたいなものだろう。
たぶん。
◇ ◇ ◇
気がつけば、少年は青年へと成長し、さらには不老の魔術まで生み出していた。
曰く、これからもお側にいる為だとか。
ふむふむ!全く困った弟子だ(ニコニコ)
結果、今では私の相棒として、この世界を共に旅している。
人生、何が起こるかわからないものだ。
本当に、いろいろあった。
魔王を名乗る妙に気さくな変人と仲良くなったり。
勇者を名乗る明らかに変質者を成敗したり。
伝説のドラゴンと名乗るトカゲをペットにしたり。
神と名乗る頭が波平の人に青年がめちゃくちゃキレていたり。
青年―アマイロの家族と親しくなったり。
そしてなぜか、
「これからも末永く、よろしくお願いします」
などと、家族総出で頭を下げられたり。
……よくわからないが、まあ、悪い気はしなかった。
本当に、いろいろあったなぁ。
遠い目で過去を振り返りつつ、気づけば百年。百年かぁ。
時が経つのは実に早い。早くない?
そして現在――
私たちはどこかのギルドで、クエストを受けている最中である。
「おい、アマイロ。そこで拝んでないで、さっさとクエストに行くぞ」
声をかけると、アマイロは慌てて顔を上げた。
……いや、なぜ拝んでいた?
まあいい。100年の付き合いであいつの事は大体わかっている。
気がつけば、あいつはよく拝んでいる。
たまにぶつぶつと言っているし。
癖なのだろうな。
なんか慣れた。
それに信心深いのは結構なことだ。
――誰を拝んでいるのかは、よくわからないが。
ともあれ。
私たちの冒険は、今日も平和に続いていくのだった。
私たちの冒険はまだまだ、これからだぁ!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます