第44話 ヘルムとリメル 僕って凄く幸せだよね

オルトから通信水晶で報告を受けた。


オルトは聖女マリアンヌを口説く事に成功したが、その際に『堕天使』だとばれてしまったそうだ。


この先、かマリアンヌらリメルに伝わったら不味い事になるかもしれない。


「どうしたの? アラン、なにか悩み事があるの? なにかあったら僕に言って? 僕、アランの為なら何でもするからね!」


屈託のない笑顔。


私は……此奴を騙している。


アランは本来の私の姿じゃない。


『堕天使』が本来の姿なんだ。


クソッ……なんで私はこんな事に罪悪感を感じるんだ。


「ゴメン……リメル、僕は君を騙していた……」


「嘘だよね? 僕の事好きだって言ってくれたの! 愛しているって言ってくれたの嘘だったの?」


本当に此奴は剣聖だったのか?


すぐ涙目になる。


「それは嘘じゃないよ」


「そう……僕を愛してくれているなら、僕はそれで良いよ! なんでも許してあげるからアラン、気にしないで、えへへっ」


今度は顔を真っ赤にするし....


多分、正体を明かせば嫌われれ作戦は失敗だ。


だけど、やっぱり私は……嘘をつきたくない。


「解った……メタモルフォーゼ……これが私の……本当の姿だ」


リメルの目の色が変わった気がする。


この目はどっちだ……


「天使様だったのか……女だったんだ……ちょっとショックだけど僕受け入れるよ……大丈夫だから」


「それ違うから……天使は両性具有。つまり男であって女でもあるんだ」


「そうなの? な~んだ! それなら問題ないよ! 僕、アランの赤ちゃんを産めないのかな? ってちょっと悲しかっただけだから……うんうん、何も問題無いよ……しかしアランは女の姿も美人さんだね! 大好きな旦那様に綺麗な女性の恋人。僕、全然大丈夫だよ!」


強いな。


だが、もう一つ言わなくちゃならない事がある。


「……私は堕天使、君の戦っていた魔族側の存在なんだ! それでも良いのかい?」


私は何をやっているんだ。


折角、口説き落とした。


数十年二人で暮らして終わらせれば良い関係なのに。


それを自分から正体を明かすなんて馬鹿だな。


魔王討伐をしないというのと『魔族側の人間になる』じゃ重みが違う。


まさか私が、正体を明かしてつき合っているオルトが羨ましく思ったというのか?


「うん、良いよ? 僕は軽い気持ちでアランに愛しているなんて言ってないよ! 僕の愛は自分の命より大切だと思った人間にしか誓わないんだ! 本当にその時が来なくちゃ解らないけど、アランの為ならライトやリヒトにだって僕は剣を向けるつもりだよ!」


堕天使って不便だ。


こういう真っすぐな目に弱い。


「メタモルフォーゼ」


私は再びアランの姿に戻った。


「リメル、僕も君を愛している」


「うん……知っているよ……それで僕はライトを斬れば良いのかな......」


流石に幼馴染を斬るのは嫌なんだろうな、目が悲しそうだ。


「いや、そんな事しなくて良いって! そうだね!僕の任務も終わりだし、タミアで遊んでいる上司に合流してパァーッと遊ぼうか? それが終わったら二人で楽しく旅をしても良いし……これでも魔国で偉い立場だから、僕の領地に帰って楽しく暮しても良いよ? その……リメルと一緒なら楽しそうだしね……」


「アラン……」


「ゴメン、僕の本当の名前はヘルムって言うんだ」


「ヘルムかぁ~ なんだか僕の名前に似ているね」


「そうだね……」


本当に此奴と居ると調子が狂う。


「タミアって温泉と海鮮が凄く美味しいんだよね? 僕凄く楽しみだなぁ~」


「そうか……」


「折角だから、一緒にお風呂入ろうよ……そのね、混浴っていうらしいんだけど? 駄目?」


上目使いで見て来るし。


もう何処にも、恐ろしい剣聖らしさが無い気がする。


「良いよ」


「うん! そうと決まったらすぐに行こう! さぁ、さぁ、さぁ~」


「いや、リメル、流石にもう遅い。今日は宿に泊まって明日準備してからな」


「そうだね……あはははっ、もう夕方だった」


「それじゃ行こうか?」


「うん」


そう言って腕を絡めてくるリメルは凄く可愛いく思えた。


◆◆◆


宿に泊まっているんだけど……この宿凄く豪華なんだよ。


アランことヘルムは今シャワー浴びている。


今夜もきっと凄く愛し合うんだと思う。


理想の男性との結婚。


それだけでも凄く僕は幸せなのに……


ヘルムは四天王の一つ下の序列。


よく考えたらそれって人間で言う貴族階級じゃない。


ヘルムが平民だって僕は間違いなく愛しちゃう。


だけど、そのヘルムが天使様で貴族階級なんて……夢みたい。


「リメル、一緒に入ろう? 今日も髪洗ってあげるから」


「うん……すぐ行く……から」


僕って凄く幸せだよね。

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