春をしる桜蘂数ふ君を見て

春をしる桜蘂さくらしべかぞふ君を見て



季語は、桜蘂。

桜蘂は、桜の花弁が散ったあとに残る、赤い部分。

桜の雄蘂と雌蘂、がく花柄かへいなどのことです。



「桜はもちろん、きれいだけど。残った桜蘂も、こうして落ちている花びらたちも、きれいだよね。できるだけ、踏まないようにしたいかな」


桜から落ちた花弁や、色々。

それらの数を数えるようによけながら、歩く。


彼は、そうしながら、隣で手をつないでいる私のことも、きちんと気遣ってくれている。


「分かるなあ」


来年も、桜は見られるけど。

今年の春は、特別。


一緒にいられる、春。


色々なことを、知ることができた、春。


「次は、一緒にどんな花を見に行けるかな」


「花? ほかのところでもいいんだよ。映画とか、ほかにも色々。行きたいところとか、したいこと、色々教えて? 僕、車も出すよ。レンタカーか、実家から借りるか、になっちゃうけど」


「ありがとう。だったら、なおさら。色々な花をみたいな。二人で」


「……こちらこそ、ありがとう」



※しる、には知る、と識るを掛けております。


残花と、そして、桜が散ったあとの、桜蘂。


葉桜も、少しは見えていることでしょう。


二人で。


今年の桜の終わりと、そして、季節の移ろい。

新しい季節の、始まりです。


次は、どんな花を見るのでしょうか。


次の季節も、また、二人で。


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