第1章3話 ゴブリン退治

 朝の傭兵ギルドは陽光が差し込んで、活気に溢れてた。窓から射す光が部屋を明るく照らし、傭兵たちが依頼の受付や準備で慌ただしく動いてる。訓練場からは剣のぶつかる音や魔法の光が響き合って、なんとも賑やかだ。俺は入口でルーナを待ってた。今の彼女なら小型魔獣は余裕で倒せる。中型でも何とかなるが、数が多いと厳しい。そんなレベルだ。

 少し遅れてルーナが現れると、俺は小さく手を振った。彼女が駆け寄ってくる姿に目が離せねえ。銀髪が揺れて、青銀の魔導士服が胸の膨らみを強調してる。細い腰にスカートが揺れて、俺の視線が自然と下がっちまう。こいつ、16歳とは思えねえ色気だぜ。


「おはよう、アクイラさん!」


 ルーナが笑顔で挨拶してくる。俺は彼女の肩に軽く手を置いて、柔らかな感触を味わいながら返す。


「おはよう、ルーナ。遅かったな」


 ギルドの中に入ると、リズが俺たちを見つけてにっこり笑った。エメラルドグリーンのボレロジャケットが彼女の華奢な体を包み、胸元がチラッと見えて俺の目を引く。スカートが細い脚を際立たせてて、貴族らしい色気がたまんねえ。俺は近づいて、彼女の腰にさりげなく手を添えながら声をかけた。


「おはよう、リズさん。今日も綺麗だな」

「おはようございます、アクイラさん。ルーナさんも」


 リズが微笑むが、俺の手を軽く睨んでくる。まあ、嫌がってねえならいいだろ。俺は依頼の話を切り出した。掲示板を眺めるが、手頃な難易度の依頼が見つからねえ。すると、ルーナが一枚の紙を差し出してきた。


「アクイラさん、私、この依頼を受けたいです」


 ゴブリン討伐の依頼書だ。俺は眉をひそめた。


「ルーナ、ゴブリンは女や子供を襲う奴らだ。簡単そうでも、女の子が行くべきじゃねえ。襲われたりしたら……その、危ねえよ。他の安全な仕事にしようぜ」


 正直、ゴブリンごときで遅れを取る気はねえ。ルーナでも勝てるだろう。だが、ゴブリンの巣は奴らのテリトリーだ。慢心は禁物。もしルーナが襲われたら……いや、俺が先だ。ゴブリンを蹴散らしてやる。彼女の胸に視線が釘付けだ。結構でかいよな。じっと見つめてると、ルーナは気づかねえのか気にしねえのか、真剣な顔で答えた。


「でも、私、強くなりたいんです! お願いします!」


 その瞳に決意が宿ってて、俺は仕方ねえなと頷いた。他にちょうどいい依頼もねえしな。依頼書を手に持って受付へ向かい、リズに渡す。彼女は微笑みながら手続きを進めてくれた。俺は彼女の肩に軽く触れつつ、さりげなく胸元を覗き込む。


「今回の仕事は別の森の洞窟でゴブリンを退治するやつだ。油断はできねえから、慎重に行くぜ」


 準備を整えて、俺たちは出発した。

 森に入ると、木々が日差しを遮って薄暗い。空気が重く、不気味な雰囲気が漂ってる。怪物が潜む気配がビリビリ伝わってくる。リズがくれた簡略地図のおかげで迷わず洞窟に着いた。小さな入り口から生き物の鳴き声が聞こえてくる。ゴブリンの巣だな。臭いと気配がそれを裏付けてる。俺はルーナの腰に手を回して引き寄せながら言った。


「よし、入るぞ。気をつけな」


 ルーナが緊張した顔で頷く。その細い腰の感触がたまんねえ。

 洞窟の中は肌寒くて暗い。足音が響き、ゴブリンに気づかれねえかとヒヤッとしたが、襲ってくる気配はねえ。入り組んだ通路は迷路みたいで、迷わねえよう慎重に進んだ。しばらくすると、少し広い空間に出た。そこには複数のゴブリンがいたが、様子がおかしい。虚ろな目でこっちを見てて、何かに取り憑かれたみてえだ。異様な光景に俺が戸惑ってると、ルーナが口を開いた。


「アクイラさん……ゴブリンって初めてなんですけど、あれって正常ですか?」

「いや、俺もこんなの見たことねえ。知性はあるから様子を窺うのは分かるが、襲わねえし仲間も呼ばねえ。変だな」


 ルーナが前に出て杖を構えた。


「アクイラさん、私に任せてください!」

「分かった。俺が後ろで構えるから、行け!」


 彼女が力強く叫ぶ。


「流れの力よ、我が杖に宿れ。水の刃を鋭くし、槍としての姿を与えん。水刃槍化スプリカーグスペアフォルマ!」


 杖から水が噴き出し、槍の刃に変わる。勢いよく突き出すと、水刃がゴブリンどもを切り裂いた。悲鳴を上げて倒れる奴らを見て、他のゴブリンが逃げ出す。今のルーナならゴブリンに勝つのなんか楽勝だ。問題は狭くて視界の悪い洞窟と、数の多さだ。


「アクイラさん、大丈夫そうです。行きます!」


 意気込む彼女に俺は頷いた。何が起こるか分からねえが、進むしかねえ。俺たちは洞窟の奥へ踏み込んだ。

 やがて広い空間に出た。ゴブリンがうじゃうじゃいて、ここが巣の中心っぽい。引き返すわけにゃいかねえ。俺は拳を構え、ルーナも杖を握り直す。


「流れの力よ、我が杖に宿れ! 水の刃を鋭くし、槍としての姿を与えん。水刃槍化スプリカーグスペアフォルマ!」


 ルーナが呪文を唱え、杖を振りかざす。水刃がゴブリンどもを切り裂き、悲鳴が響く。新手が次々襲ってくるが、休む暇もねえ。


「炎の守護、我が身を囲みて鎧となれ。炎焔の鎧エンフレクス・アルマ!」


 普段なら詠唱なんかいらねえが、ルーナがいるしフルパワーで行くぜ。炎を纏った左足でゴブリンどもを薙ぎ払う。燃え上がる悲鳴が響き、俺は群れに飛び込んで拳を連打した。肉が潰れ、骨が砕ける感触が気持ちいい。最後の奴を蹴り飛ばして戦闘終了だ。

 ルーナも敵を片付け終わり、杖を下ろして大きく息を吐いた。


「アクイラさん! 私、やりましたよ!」


 嬉しそうに駆け寄ってくる彼女の頭を撫でてやる。ついでに背中に手を滑らせて、細い腰を抱き寄せた。柔らかい感触に目を細めるルーナが可愛すぎて、心が癒されるぜ。


「よくやったな。けど、ここが最深部じゃねえみたいだ。先があるぞ」


 広場の向こうに道が続いてる。様子を見に行くか。しばらくゴブリンの襲撃が続いたが、ルーナと協力して切り抜けた。ついに最深部らしき場所にたどり着く。さっきより狭いが天井が高く、柱が並んで死角が多い。


「アクイラさん、ここが一番奥? んー?」


 ルーナが聞くから、俺は静かに頷いた。奥からピリピリした気配がする。ルーナを無事に帰せるか……俺は彼女の肩を引き寄せ、守る覚悟を固めた。

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