第五章 魔物ってなんじゃ?

 あれから数日経ち、先生、伊勢盆が険しい顔でこちらを向いてきた。


「お前ら、落ち着いて聞け。実はな・・・」


 いったい何事じゃ?


「クラスA恒例の魔物退治レースの相手にうちが選ばれた」

「「「なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!?」」」


 みんなとても驚いておる。じゃが・・・


「魔物ってなんじゃ?」


 その一言で全員が静まり返った。全員がこちらを向いてきた。しかも驚いていたような顔でじゃ。


「「「「魔物知らねぇのかよ!!?」」」」

「知らんぞ」


 わしが魔物を知らんことにかなり驚いているようじゃ。何度も言うがわしは転生してからこの世界のことの常識についてほとんど知らない。魔法知識に関しては遅延ちえから教えてもらったがそれでもまだ足りない。


「というかなんで今年に限ってうちなんですか?いつもはクラスCの奴らを指名するのに・・・」


 遅延が質問する。そうなのか?じゃあ、つまり奴らはクラスCをボコボコにして見せしめにしてるってことか・・・許せんッ!!


「わからん、とにかく勝つためにも今から黒速の魔法を参考にさせてもらうぞ」


 はて?なんでわしの魔法を?MPが高いからか?よくわからなかったがとりあえず体育館に移動したのだった。


「よし、次射。試しに黒雷を使ってみろ」


 言われたので発動!!


 パチンッ


 ドォォォォォンッ!!とすさまじい音で巨大な雷が落ちてきた。そのあと伊勢盆が質問してくる。


「おい、黒速くろはや。どうやればそのような技が使えるんだ?」

「そう言われてものう・・・」


 実際わしは幼少期は何もしていない。ただ陽気に過ごしておっただけなんじゃが・・・

 考え込んでいるわしを見て伊勢盆が思いついたようでわしの方を見た。


「う~む、魔法研究部に行ってみるか。もしかしたら次射じいの力の秘密がわかるかもしれん」


 わしらはその魔法研究部とやらに立ち寄るために体育館を出た。


「その魔法研究部とやらはどこにあるんですか?」

「この学校は本館、2号館、3号館、体育館とわかれている。魔法研究部などの部活はほとんど3号館にある」


 そう話していると魔法研究部の部室に着いた。薄暗くてちょっと不気味な部屋じゃ。うわ、入りたくない。隣で美紀みきが震えているし・・・


「先生!いますか!?」

「いるってば!そんな大声を出さないでください!・・・・・・ん?君は・・・・・・」




「なるほど、そういうことですか・・・」


 魔法研究部に着くと一人の生徒ともう一人、白衣を着た先生がいた。先生はフラスと名乗った。外国人かのう?


「まずもう一回水晶玉に手をかざしてみてください」


 仕方なく手をかざすと、白く発光した。普通の人ならびっくりするくらい驚いていたんじゃが・・・


「ほほう・・・」


 フラス先生は驚きもせずに水晶玉とわしを交互に見ながら・・・


「君、何歳?」


 突然変な質問をしてきた。えっ逆に16歳以外あるんか?いや、留年していたらあり得るかもしれんのう。


「えっ16ですけど?」

「今のウソでしょ??本当の年齢を教えてくださいよ~」


 ものすごく近寄ってくる。おそらく本当の年齢というのは精神年齢のことを言っておるのかのう。だとしたらこの人天才じゃ。


「気づいてるんですか?」

「もちろんですよ。私はレベルについて仮説を立てていたんだよ」


 フラスは左右を歩きながら語り始めた。


「レベルは年齢に影響するという話だが、あれは嘘だ。というか一部の人間は違うといった方が正しいかな。現に16歳のはずの黒速君はレベルが110になっている」


 そこでわしに指をさし・・・


「私が考えていたもう一つの仮説は・・・精神年齢によってレベルが変わること!!」


 当たってしまった。このフラスとかいう教師、世間も知らない、しかもわしがついこないだそう思っていた情報を・・・簡単に・・・


「どう?黒速君?あたり?」

「なんでわしに聞いてくるんじゃ・・・」


 反射的にわしと言ってしまったがこの際、もう仕方ない。



「わしは前世の記憶を保持したままここに転生してきたんじゃ」



 意外にもすぐにバレたのう。こういうのって最後にバレるものなんじゃ?

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