僕と風俗嬢！②の②

　風俗嬢の真琴と普通にデートするようになって、テーマパーク、水族館、屋内プール、夏祭りなど、僕が真琴と行きたかった場所を一通り巡った。特に、真琴の黄色いビキニ姿を見れたプールと、黄色い浴衣姿を見れた夏祭りは印象的だった。デートの夜は、マンションの僕の部屋に泊まるのがパターンになっていた。要するに普通の恋人と同じで、夜は結ばれていたのだ。僕達は夜の相性も良かった。真琴と一緒にいるのが楽しくて仕方がなかった。真琴は美人というよりはカワイイ系。いやいや、めちゃくちゃカワイイ。身長は１５５だったが、顔が小さいので背も高く見えるしスタイルも良い。胸もＤかＥ（ブラによる）だった。

　プライベートで会っていたのだが、サプライズで店にも行った。売り上げに貢献したいと思っていたからだ。僕達は、そんな関係をしばらく続けた。

　そんな真琴が、或る日、僕に腕枕をされながら言った。

「もうすぐ、風俗をやめられるわ」

「そうなんや｣

「うん、貯金が目標金額に達したから。これで私も自分の店を出せるわ」

「そうなんや、良かったやんか、おめでとう」

「そこで聞きたいんやけど」

「うん、何？」

「崔君は、私が風俗を辞めたら結婚してくれる？」

「うん、ええよ」

「簡単に言うんやね。崔君、私のこと好き？」

「うん、大好き」

「私が元風俗嬢でも結婚できるの？」

「うん、現役と結婚したらヤキモチ焼くと思うけど、風俗を辞めたらヤキモチを焼くことも無いし、何の問題も無いやんか。相手が真琴やったら嬉しいで」

「崔君、私、崔君に本当の年齢も言ってへんのやで」

「うん、知ってる」

「それでも結婚できるん？」

「うん、何歳でもええやんか、僕は今の真琴が大好きやねんから」

「うーん、やっぱり悩むなぁ」

「何を悩んでるの？」

「今、好きな人が２人いるねん」

「はあ」

「１人は崔君。もう１人の人は昼の仕事で知り合った人。その人は私が風俗をやってるって知らんねん」

「ほんで？」

「風俗のことを隠して昼の人と付き合ったら、なんか騙してるみたいとちゃう？」

「そんなことはないやろ、死ぬまで隠し通したらええねん。嘘もつき通したら真実になるんやで」

「でも、崔君は私が風俗嬢やと知った上で受け入れてくれるやろ？　その方がええんかなぁって思うねん。隠し事無しで暮らせるやんか」

「いやいや、まずはどっちにより強く惹かれてるかやろ？」

「ほな、ごめんやけど昼の人」

「ほな、昼の人に告ったら？　それで上手くいったらそれでええやんか。昼の人にフラれても僕がいるやんか。失敗したときの保険付きやったら思い切って告れるやろ」

「崔君は、それでええの？」

「うん、相手が真琴やからそれでええよ。真琴が幸せになれたらええねん」

「ほな、お言葉に甘えて告ってみるわ」

「うん、フラれたら僕のところにおいで」

「わかった」

「崔君」

「どうなった？」

「昼の人と付き合うことになったわ」

「そうかぁ……まあ、良かったやんか」

「ごめんね」

「ええよ、幸せにならなアカンで」

「今までありがとう」

「こちらこそ」

　真琴が泣き始めた。僕は真琴を抱き締め、なるべく優しく言った。

「これからは、好きな人の胸で泣かなアカンで」