第4話 鈴木シネマとは?
鈴木シネマを出て、ミカルと近くの喫茶店に入る。
「あなたたち、まだ結婚してるのよね? じゃあ、離婚して
「離婚? 勝手に話を進めないでくださらない? それに後編って? オーディションって?」
「映画、変な終わり方だったでしょう? 洋平は前後編にわけるつもりで、まず一回目のオーディション受けたわけね」
「オーディションを受けたのはサキさんでは?」
もう映画の内容とごっちゃになってわけがわからない。
「鈴木シネマなんてものができてからね、この町に住む鈴木って名字の人はなんらかの力によって生活を撮影されているの」
「なんらかの力って……。怖い。怖すぎる」
「でしょう? でもね、中には自分も映画俳優になれる! 出演したい! っていう変わり者もいて……。映画の主役になるにはね、オーディションがあるの。自分の人生がいかに劇的かをアピールしたりするみたい。もちろん鈴木限定。合格したら主役として映画が上映されるわけ」
「私はオーディションなんて受けてない……。そもそも誰がオーディションなんて開いてるの!?」
「オーディションの開催者は鈴木一夫。町長が公にせずにやってるの。脇役はね、主役にかかわる人物だったら勝手に出演させられているのよ」
……そんなぁ。
鈴木シネマについてまとめると……
・出演権があるのは、この町に住民票のある名字が鈴木で高校生以上の人物(他の名字の者、中学生以下が出る場合はモザイクがかけられる)
・出演権がある者はこの町の外にいても盗撮されている
・オーディションの開催者、合否判定は鈴木一夫町長
・映画の内容や出演者は上映するまで秘密。ただ、町長と仲が良ければ事前に教えてくれることもある(ミカルの父親は町長と幼馴染らしい)
・鈴木じゃない名字の人は、鈴木シネマの存在は知っているが、上記のことは知らずに生きている人が多い
・鈴木シネマができた目的は闇の中……
「自分のプライベートをさらけ出して映画に出たいなんて
……と、ここである疑問が。
「さっきの映画は本当に洋平さんの人生なの? それとも映画に出たくて、劇的な人生を演出するために、サキさんのことを想っていながら私と結婚したの? あっ、そもそもサキさんとの恋も映画に出るための演技!?」
「鈴木シネマができたのは私と洋平が大学に入って数ヶ月経ってから。二人は本当に高校時代に付き合っていて、咲が俳優を目指すために別れることになったの。咲との恋愛は演技じゃなくて本物よ。あなたとの結婚は……わからないわ」
「……っ、何よ! ミカルさんのせいじゃない! 昔の彼女が載ってる雑誌を見せたりなんかするから」
「ごめんなさい、それを謝りたくて。洋平は真面目だから、結婚した映真さんのこと見捨てるわけないと思ってた。私も映画を見て驚いたわ。まさか、また咲とやり直そうとするなんて……」
「それ見て泣いてたろうが!!」
「い、いや、ハハ……。話の結末はまだわからないじゃない。後編も観に行く? また奢るから、ね?」
「観ねぇよ!!!!!」
私は立ち上がり、店を出た。
はぁ、……これも盗撮されてるんでしょ?
洋平さん、ひどい……。私を騙してたの?
もう疲れた。洋平さんとは離婚して、実家に戻ろう。
「高橋」に戻れば……、「鈴木」でなくなれば、鈴木シネマに出ることはないのだから。
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