夕焼け小焼けの音楽も握った手も覚えている。だからまだ夕焼けの中にいる

ある不幸な出来事により、望まない方向へ人生が変わってしまった主人公。
そんな彼女の身に起きた、新たな事件とは────

強く心身を揺さぶる出来事は、人を変えてしまいます。
作中の主人公の淡々とした語り口が、却ってその胸中に秘めた心情を強く映している。
そんな印象の物語です。

作中にて繰り返された思い出の中の音。
夕方の五時、街に流れる夕焼け小焼けの音楽が印象的でした。

きっとこの物語を読む方は、ラストの四行でより深い怖気を覚えることでしょう。

人の狂気の及ぼすものの有様、その波及する果てを見せてくれる物語です。
お勧めいたします。

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