ソウル・オブ・ジ・オリジン編 22話「天道の玉髄」

朦朧とした意識が、自分たちの身体に戻って来るような感覚が続くと、僕らは湖の上で立ち尽くしていた。だけど、この力はこの身体にしっかり残っているようだった。


「クァトロの嬢ちゃんにはなんて説明したらいいのやら・・・。」


「ルルさんに関しては彼女も分かっているはずさ、それに・・・。」


「それに・・・?どうしたのですか?リヴァンさん。」


「いいや、何でもないよ。」


きっと、この先の未来に僕らは何かを失い、何かを助けて、何かを探す旅が始まるのだろう。だけどその先には、僕らでも予想はできない。だから最後まで足掻き続ける選択肢は捨てられない。


「みんな、街へ帰ろう。」


僕らはゆっくりと歩み初めると、辺りの様子が以前と違うモノだった。


「何か・・・様子がおかしくないか?」


「え、えぇ・・・アタシ達以外の誰かがこっちを見ているような・・・。」


木々の間から、何かがこっちを見ているように感じる。その何かに近づくと、気配が消えてまた何処からか視線を感じる。


「何か、招かれているのかな?」


「気を付けてくださいリヴァンさん。何かが、見えます・・・。」


紋章眼を使うと、確かに何かが見える。その何かは炎のような形で僕らが近づくと奥へ奥へと進んでいくようだった。その炎を追いかけていくと、魔力でできた湧き水が辺りを潤し続ける秘境へと着いた。


「ここは、さっきの湖の源泉の場所みたいだね。」


「リヴァン・・・?ここ、何か嫌な空気が漂ってない・・・?」


この場所に来てから、確かに嫌な寒気がずっとしていた。まるで死者の世界に足を踏み入れたような感覚だった。


「リヴァンさん・・・アレ・・・何でしょうか・・・?」


マルタは震えながらある場所に指を指す、その先にはさっき見た炎達が集まって一つの映像を映し出していた。


「何かを、映しているようだね・・・?みんな、ゆっくり近づくよ。」


マルタ達はゆっくりと頷いて、僕らはゆっくりとその映像に近づく。するとその映像に意識が持ってかれて、僕らはある空間に入っていた。その空間にはあの廃都に最初に入って見ていた隕石が空に浮かび上がっていて、その隕石が僕らの街に落ちていく様子が映し出されていた。


「この隕石は、あのときの!?」


「リヴァン!?もしこの光景が本当なら・・・!?」


「あぁ、多分そうだと思う・・・!」


僕らが何かに気づくと、目の前の光景が消え失せて、僕らは森の外に出ていた。そして、街の方へ視線を移すと、街の空には巨大な隕石がゆっくりと近づいている。その事実を知ると共に、僕らは街へと走り出した。この隕石をどうすればいいかは分からない、けど!僕らの力で何とかできないかを探るしか無い!息を切らしながら東門の付近へと着くと、クァトロさんが待ち構えていた。


「お主ら!無事じゃったか!」


「クァトロさん!状況は!?」


「お主らも見えるじゃろう!あの隕石の姿を!天道の玉髄を止めるためには、お主らの力が必要じゃ!急いで着いてくるのじゃ!」


クァトロさんに着いていくと、僕らの知らない道に出た。


「確かこの先を抜けると、秘封の間があったはずじゃ!急ぐのじゃ!」



始まりの魂は、すべての因果を終わらせる鍵の一つになる。


君たちの適合した魂は、世界の楔を解く礎になるだろう。


そして、ここからはじまる物語は、すべて意味があるもの。


だが、君たちの目の前には、この世界を終わらせる厄災が発生した。


この厄災を止めるには、君たちの1つ目の魂が必要だ。


囚われの彼女の内に秘められた使命を、君たちの選択により世界を変える一歩になる。


だが、その選択の一つが世界を壊す厄災の一つにも繋がっている。


降り積もる雪が太陽によって溶け出し、その水がこの地を肥沃にするように、その隕石により、地図から消える王国は、人族の一つの進化を遂げる軌跡にもなる。


その地に守りたいモノがあるのなら、君たちの真価を見せよ。

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