兄妹でありながら長い年月で生まれた距離感、その“薄さ”が逆にリアルで胸に刺さりました。留美の訃報を受けても涙が出ない主人公の感情が、生々しい生活描写と酒の匂いの中でじわじわ浮かび上がってきます。派手な演出ではなく、フェリーや晩酌、会話の端々から人生の重みを積み上げる筆致が印象的でした。特に「コピー用紙みたいな薄っぺらい関係性」という表現が強烈で、この物語全体を象徴しているように感じます。
カクヨムでは希少な、キラ星のような純文学作品でした。死という誰もが避けて通れないテーマに真摯に取り組まれた作品だと、拝察します。兄妹だからこその複雑な距離感の描写がリアルで、読んでいて胸が詰まる思いでした。作者様のお人柄がにじみ出るような温かい筆致に★3を贈らせていただきます。