11.襲撃

 朝六時校庭にて集まりしものたち、それらを乗せる大型バスが待機していた。


 百名ほどの赤雛学園の生徒たちは、会長の言葉を待つ。


「おはよう諸君、よく寝れたか?」


「バッチリです」


「お前に聞いてない」


「酷いっ!」


 佐伯は、がっくり項垂れてショックを受けていた。しかし周りの生徒は、彼を気にする様子がない。


「これよりグループを、待機組と現地組の二つに分ける」


「どうして戦力を分けるのですか?」


「それはな…」


 陽葵の問いに答えようとした時、望まぬ来訪者が現れた。


「ここが赤雛学園か、しかしこれほど人数を集めるとは、お迎えご苦労。だが、全て無駄。何故なら、田尻がきたのだからな」


「何すか、あの痛いおっさん」


「誰がおっさんじゃ」


 闇傘の手痛い反論を受け、怒り狂う謎の男。


「早速きたか、龍造寺の先兵」


「お前が高橋か、躾がなってないぞ」


「グループに分かれたようだな。現地組は、早くバスに乗れ、待機組あとは頼んだぞ」


「おい、無視するな」


「うるさい、雑兵」


「おっさんだの、雑兵だの言いたい放題言いおって。許さん」


 筋肉達磨のような男が、高橋に飛びかかる。


 高橋と田尻の間に割り込み、進行を妨害する双子。


「お姉さま、ここは私たちに任せて早く行って」 


「任せたぞ」


 高橋は、不敵に笑うとバスに乗り込み。バスは赤雛学園から、長崎へと出発した。


 赤雛学園の校庭には、龍造寺の先兵が大勢集まり、私たちの防衛戦が始まる。


「陽葵」


「陰菜」


「二人で功績建てちゃおう」


「うん」


「レヴィアタンまた置いてけぼりー、がむしゃらだドーン☆」


 レヴィアタンは、走り出した。そして加速するとバスの後部に張り付いた。


「あの人は、忍者かなんかですか?」


 というかパンツ丸出し、今どき黒の水玉とは珍しい。そのままよじ登って、バスの屋根に上がって行く。そして窓から中へ、まさにアクションスターさながらの動きだ。


「危ないわ、馬鹿たれ」


 ゴツンと会長から叩かれ、バスの中で正座をさせられている。


「レヴィアタン、しょんぼり」


 ちょっとばかり可哀想だ。でも普通に危ないよな。


「私たちは、海繋学園への伝令後、現在交戦中の中条町の南側から奇襲をかける」


「質問があります」


「何だ?」


 挙手をした大内は、疑問を並べる。


「龍造寺鷹春の私兵だけでも数百はくだらないと考えれますが、現状の数で勝てる算段はおありですか?」


「小田の連れてきた者だからと侮っていたが、賢いな。だが、案ずることはない。策はある」


「お手並み拝見させていただきますよ」


 バチバチと二人の間に、火花のような視線を交わされる。

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