10.点と線

 ゲーセンの緑色した丸椅子に座り、これまでのことを大内と小笠に話す。それを聞いた二人は、驚きとともに決意する。


「これは一大事ですね」


「放置すると、私たちの学園にも大きな被害が出るでしょう。それは風紀委員として、見過ごせませんよね?」


「当たり前です。まずは、双葉学園の警戒レベルを上げて対応しなければなりません。即急に生徒会長に連絡を取る必要があります」


「ですが、それよりも重要なことがあります。お二人と連絡先の交換をしましょう」


 スッと小笠が、ポケットからスマホを取り出した。


「確かに今後のことを考えると、しておいた方がよろしいですね」


「確かにその通りだな」


 鞄からいそいそとスマホを取り出す大内、その可愛らしい熊のスマホケースには面食らった。


 男性と連絡先を交換するのは初めてで、ちょっと意識してしまいますね。


 距離が近くなりながらも、連絡先を交換した。


「変なことしたら、即ブロックするからな」


「俺を何だと思っているんだ?」


「私たちは、幼い頃から男は野獣だと教わっている」


「小田様は、野獣ではありません。その戦う姿は、知的で新緑の王子様を匂わせるものがあります」


「貴女が小田さんを信用していることはわかりましたが、新緑の王子様って何ですか?」


「それは言葉の綾というものです。恥ずかしいので忘れてください」


「仲良しさんですね」


 大内は、俺と那須を交互に見て、クスクスと笑う。


「もう、からかわないでください」


 那須が珍しく照れていた。


「私たちは急用ができましたので、学園へ戻ります。報告は小田さんに致しますので、よろしくお願い致しますね」


「了解」


「それと小田さんに那須さん、初めてのゲームセンターは楽しかったです。誘っていただき感謝致します」


「またゲーセン行きましょう」


 那須の返事に大内は、頷いた。


「俺たちは、もう仲間だろ。対等なんだから、言いたいことを我慢するな、やりたいことを存分に巻き込め」


「はい」


「意外ですね」


 大内委員長が、あんなに嬉しそうにしているのは初めて見た。


「どうかされましたか小笠さん?」


「いえ、何でもありません」


「では、小田さんに那須さん、ごきげんよう。小笠さん行きましょう」


「はい、それではまた」


「おう」


「また」


「那須、飯食って行くか?」


「もちのろんです」


「何食う?」


「そうですね。今日は、カツ丼食べたいです」


「縁起も担げて、ガッツリ食べるのにピッタリだな」


「この近くに美味しいお店があるみたいです」


「おう、そこ行こうぜ」


「はい」


 値段、味よし、量も申し分なし。明日に備え、十分すぎるほどだ。

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