9.女子会

 明日の早朝六時に校庭に集合、長崎の有馬ヘナの救援に向かう。参加規模は不明、赤雛学園の主力が動くと思われる。


 スマホのメモ帳に記録を残した。


「姉御、これからどうします?」


「糖分が足りない」


「でしたら女子会を開きましょう」


「女子会って言われても、よくわからないんだけど?」


「きいちゃんも呼んで、今だけでも楽しくやりましょう」


「そしたら城井も、明日付いてきちゃうじゃない」


「きいちゃんだけ、仲間外れにするつもりですか?きいちゃん、後で知ったら怒りますよ」


「う…わかったわよ。好きにしなさい」


「了解です」


 スマホを取り出して操作を始めた誾傘、すぐに連絡が着いたようだ。


「そこのファミレスで待ち合わせです」


「確かにファミレスの甘味も侮りがたいと聞くけど、行くなら専門店の方がいいんじゃない?」


「時間を考えるなら、ファミレスの方が良いですね。二十四時間やってるとこもありますし」


「って事前に調べたでしょ?」


「バレましたか」


 店に入るなり、特大ジャンボパフェを頼み、パクパク食べる。


「悪くないかも」


「追加で唐揚げとフライドポテト、チキンハンバーグ。それとミックスたこ焼きください。あとは、醤油ラーメンとすき焼き」


「ちょ!そんなに食べるの?」


「女子高生の胃袋を舐めないでくださいよ」


「…」


 自分の平らな胸を見て、誾傘を見る。その理不尽にとても悲しくなった。


「何ですか、その冷ややかな目は?ちょ、胸引っ張らないで。痛い、痛いです」


「立花さんに誾傘さん、何をやってるんですか?」


 恥ずかしいところを見られてしまった。慌てて誾傘の胸から手を離し、何事もなかったように席に着く。


「城井元気そうね」


「おかげさまで、それよりもメールの内容を確認したのですが。明日、長崎へ行かれるそうですね。私もお供させていただいて大丈夫でしょうか?」


「付いてきたいなら、付いてきなさい。私には、止める権利も、命令する権利もないわ。人間は、生まれながら、選択する権利を持っている。貴女は、自由よ」


「はい、ありがとうございます。私は、立花さんに付いて行きます」


 やっぱり、こうなったか。


「城井も何か食べなさい。今日は、女子会だそうよ」


「でしたら、このフレッシュステーキとチーズケーキをお願い致します」


 テーブルいっぱいの料理、私も何か頼むか。


「きいちゃんのステーキ美味しそうですね。私も頼もうかな」


「ええ、とても美味しいですよ」


 こんな調子で良いのだろうか?考えても仕方がない、私も楽しもう。


 しかし明日の天気は、大丈夫なのかしら?

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