特別編 激突!
「隊長」
「相手は」
「某鍵開け職人かと」
「手持ち無沙汰とは恐れ入った、全体停止。馬車及び御者は一定距離を空け、現場待機」
全員が体を起こし、まだ揺れる末尾から立て続けに大地へ降り立ち、最後のメリスが、
「指示を待て。案ずるな、直ぐに終わらせる」
「了解」
角が取れぬ兵士に細やかな言葉を掛けた。
「いやはや、皆様お揃いのようで何よりです」
「……」
「我々魔導師大隊は現在、勇者の行方を追っておりまして、些か苦戦を強いられると予想し、偶然――お会いした貴方方との共闘を」
怒涛の勢いで放たれる口八丁な素振りにも依然として自分流の歩みの寄り方を貫いて、膨大な魔力を漏らし続ける一群を部下一同が囲うように自然且つ迅速に円で覆っていた。
「願いたいのですが、どうですかな? 異論が有りましたら、是非にお答えしましょう」
「……」
沈黙。
「了承して頂けましたか」
だが、見ている先は未だに頭上のオーラ。
「先日の脱走劇には部下を含め、我が人生の一生の恥となる失態として終わりましたが、それも、今回限りで終焉を迎えましょう」
視線は下へ。
目線、人数、武器。
敵対心剥き出しの瞳に、不吉な五芒星と、魔物と神獣を前面に押し出した装備の一式。
「さぁ、手を。共に彼奴を討ちましょう!」
意志を分けた同胞が一際、趣味の悪い贈り物を固く握りしめ、静かに躙り寄っていく。
意気揚々と差し伸べられた汚れなき掌を、
「散開」
前傾姿勢に背負う槍の風切り音が打ち払う。
「え」
かち。
「……」
一つまた一つと尸を超えて行き、今まで普段通りに訪れていた朝日に感謝して今一度、
「ァァ」
前へ。
――欠けた星を。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます