悪夢にうなされて悩んでいた主人公が怪異探偵と出会うところから物語が始まります。
怪異探偵…それは、あやかしが住む幽世と人が住む現世の間にある異界で営業する半妖の探偵
見事自分の悩みを解決してもらった主人公はその後、探偵助手となって数々の怪異に挑んでいくのでした!
というのがざっくりとしたあらすじなのですが、登場するあやかしにはそれぞれその怪をなすロジックがあり、それを解いていく過程が面白い!まさに本作は特殊設定ミステリーなのです。
加えて、ただ謎を解いてすっきりというだけでなく、一つの謎解きが終わった後には何とも言えない感情が残ります。それは切なさだったり、悲しさだったり…
優れた探偵は人の心理を読むことに長けているものですが、本作に登場する探偵もそこに優れた能力を発揮します。さらにそれぞれの物語には作者である木の傘さんの仕掛けた伏線があり、一つの話が終わった後には毎回その巧妙さに唸らされることになります。
そんな至極のミステリーを、ぜひご一読を😆
何と言っても、主人公たちの設定がとても魅力的です。
怪異が関連する事件を専門で解決する、怪異探偵の万屋覚(よろずや・さとる)。彼には魔法の力があり、部屋と部屋を繋げることで瞬時に遠くの場所へ移動できるなどの力がある。
その仲間として天井から常に上半身だけが飛び出して見える『サガリさん』や、機械いじりのエキスパートのグレムリンらが登場し、必要に応じて捜査や解決に協力してくれることになります。
水木しげる作品が好きな人間だったら絶対にハマる、とても楽しいホラーミステリーでした。
さらに見所として、怪異探偵である『覚』にはある秘密が存在します。それが回を追うごとに少しずつ見えてきて、彼の抱える因縁や、怪異を操る存在への憎しみなどが描き出されるようになっていきます。
彼らの行きつく先はどうなるのか。目が離せない一作です。