拾玖

 食器を洗いながら怪談動画を聞き流す。無名の怪談師は語る。


「体験者の梶さんは――」


 私と同じ苗字で少し驚いた。


「――梶さんの食器を洗う手が止まった」


 つい私も手を止めた。


「背後に何かの気配を感じる」


 背後に何かの気配を感じる。


「梶さんは――」


 既に、体の自由は利かない。



『生怪談』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る