キャラクターがとにかく魅力的で、特に主人公である退魔士・箱崎翼の存在感が抜群でした。
軽やかでありながら実力は確かで、その明るさと強さがあるからこそ、反対に重く暗い世界観や設定、そして敵の異様さがより際立って見えます。設定もしっかり作り込まれているのに複雑さを感じさせず、小説として自然に読ませてくる見せ方がとても上手いです。世界観、キャラクター、戦闘、それぞれにこだわりを感じながらも、物語として綺麗にまとまっているのが印象的でした。
正直ものすごい嫉妬をしています。読ませ方、ストーリー構成、キャラクターに至るまでが高レベル。
だからこそ、どうしてもっと読まれていないのか不思議なくらいです。
まだ読破はしていないですが、これから待っているであろう陰謀や、まだ見ぬキャラクターたちが、このまま多くの人の目に触れず埋もれてしまうのは本当に勿体ない。
とりあえず言えることがあるとすれば、こんなレビュー読む時間があるのなら1秒でも早く本編に触れたほうがいい。
F県淀代に蔓延る鬼人種、それを狩る人間たちの戦いの記録。
箱崎翼は「退魔協会」に所属する一員で、日夜「鬼人種」を狩るお仕事に就くか弱いJK(本人談)。そんな彼女を主人公を迎えた、純正現代異能バトル。
……で終わらないのがこの作品です。
退魔協会は鬼人種のお掃除をする組織ですが、それと反目する「鬼人種情報統制局」は文字通り鬼人種の情報を秘匿する組織。です。今はなんかんやあって結託はしています。このバランスがサスペンスドラマのような仕立てを作品に与えています。
現代怪物バトルもの?としてはこの感じがいいスパイスです。人対怪物で終わらない政治闘争が血生臭いことこの上なく、ちょっと洋画っぽさを感じます。
もちろんちゃんとバトルもします。鬼>人のバランスは作中でよく描かれていて、敵の厄介さがハラハラ感に拍車をかけます。
それからこれはネタバレになるのであまり触れられないですが、1章はある人物の描きようがえげつないのです。心臓をヤスリで削られるような生々しさが……。怪しい教団まで出てきます。お話全体はかなりメンタルを抉ってくるんですよね。芸術を感じる。ハードに次ぐハードさ。
作風全体を通して、見えない世界やアンダーグラウンドとしての東京などの解像度がかなり高いです。なんか……こういうのってきっと現実にもあるんだろうなって。
作者様曰くラノベや少年漫画の雰囲気を取り入れているとのことですが、進撃の巨人とか呪術廻戦みたいなハードな作風寄りのものを感じました。
ぜひ、いやぜひ読んでください。