第30話 『木っ端微塵』

 起動まで残り10秒、ドク博士と助手くんは転がるタイムマシンを必死に追いかけますが、どうしても追いつく事が出来ません。


 残り5秒になった時、ドク博士は、遂にこんな事を口走りました。



「わ〜ん!! このままじゃ、儂らふたり、木っ端微塵になってしまうんじゃ〜っっ!!」

「博士〜!?」



 助手くんは、驚きと悲鳴が入り交じった声を上げますが、カウントダウンは止まりません。



 2秒……1秒……そして、遂に、導火線の炎がタイムマシンに到達します。



 タイムマシンは爆発し、部品が辺り一面に四散します。



「助手くうぅ~ん!!」

「博士えェ〜!!」



 と、同時にドク博士と助手くんは爆風で吹き飛ばされ、断末魔の様な声を上げます。



「助手く〜ん……」

「博士エぇ〜……」

「助手く〜……」

「博士え……」

「助手く……」

「博士……」



 少しずつ、意識が遠のいていくドク博士……。あとには、白く、まばゆい世界が広がっていき、その中心に助手くんが呑み込まれるように消えていくのが見えました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る