第16話


っつーわけで、どうもだにゃん。


俺、オレ、おれにゃん。


猫宮扇じゃにゃくて、『去り猫』の猫宮扇だにゃん。


俺は、確かにアイツに殺された。


1000年も生きてない仙狐に。


殺され、虐められ…


俺はほとんど力を失ってしまったにゃん。


だが、それは実体を持つ力を失ってしまっただけのようにゃもの。


俺の力___つまり噂の力は


アイツが思っていた以上に広まっていた。


強まっていた、かにゃん。


ともかく、俺は実体を持つことはできにゃい。


だが、力はまだ残っている。


猫宮扇が意識を失ったときのみ、俺は具現化されるのにゃ。


つまるところ。


猫宮扇は今、意識を失っている状態ってことにゃ。


「___で、それはお前の力にゃんだろ?」


俺は、教卓に座っている女に声をかける。


女っつーほどの歳じゃあねえと思うがな。


見た感じは8歳とかだし。


そして、そのは口を開いた。


『そうじゃよ、儂の力でそこの坊主は寝とる』


「寝とる…っつーか、催眠だろ」


『そうじゃなあ…。まあそれに近いじゃろう』


寝とる主人の体を使うのか、と怪異はあざ笑う。


くはは、と。下品に、でも上品に笑う。


「主人じゃあにゃい。これは俺の体であり、猫宮扇の体にゃ」


『そうか。まあ覚えておいてやろう』


「覚えにゃくていい。どうせお前は死ぬ」


『くはは、そんな大口を叩けるのもあと少しじゃぞ』


幼女は、いや、妖女は、


組んでいた足を組み替え、こちらを睨みつけた。


『儂は【刻戻ときもどり】。ここの学校の七不思議じゃ。』


「あっそ、名前は覚えといてやろうかにゃ」


お互いに睨み合い、煽り合い、踏みつけあう。


『お主も少ししたら眠りに落ちる。』


そして、教卓から飛び降りて。



『猫は猫らしく寝とけ』



「奇遇だな。俺もお前を殺して寝ようと思っていたところにゃよ」



二人の怪異の戦いは始まった。

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