第5話

 東に僧侶が居ると知ればすぐに訪ね、西に呪術師が来たと聞けば駆け付け……それらしい者には片っ端から話を聞き、死者蘇生の術を探す魔女が居るらしい。

誰からどれだけ首を横に振られても限界まで食い下がらず、そんな事を来る日も来る日も飽き足らずやっているとのこと。


 そんな噂を耳にしたとある騎士は、大変苦労してその魔女を探し出した。


「……久し振り、だな」

「……えぇ」

「死者蘇生の術を探しているというのは本当か?」

「別に……あんたの為じゃないわ」


魔女は目を逸らしていた。


「『あなたの献身は本物でした』……昔、主が言ってくれた言葉だ。お前があの日、同じことを言ってくれたから思い出した」

「あら、そう……」

「私は、これからもあの人の誇りでありたいと思う」

「へぇ……」


曖昧な返事を繰り返す魔女に、騎士ははっきりと告げた。


「また、私を手伝ってくれないか?」


魔女は自分の視界を隠していた帽子を取った。


「いいわよ、丁度暇だったし。どこでも付いて行ってあげる」











 結局、聖女を救えず終いだった治癒の術の数々。

しかし、それを求める人は幾らでも居た。

騎士と魔女は再び旅に出て、その生涯、多くの命を救った。


 かつて自らをたぶらかそうとした魔女によって、生きる意味を見出した騎士。

 心のどこかで嫌い、妬んだ騎士から生きるべき道を学んだ魔女。

二人は恋仲とはならなかったが、一人の孤児を共に育て、その子は立派な聖女になったそうだ。






 終わり。

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聖騎士である私に、変な魔女が付きまとって来る 幸/ゆき さん @WGS所属 @yuki0512

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