タイミングが悪すぎる訪問者
「...あーあ、いいところだったのになぁ」
桐乃さんが不機嫌そうにそう呟き、いったん俺の上から降りる。
「ちょっと待っててね清人君。すぐに戻るから」
桐乃さんが部屋から退出していく。
そして、ドアをあけたところでもう一度俺に振り返り
「あ、そうそう。わたしは清人君がそんなことはしないと信じてるけど、もしわたしがいない隙に逃げようとしたら...もうおまえの手足、使い物にならないようにしてやるからな」
ひぃぃぃぃぃ//
桐乃さんがいないと生きていけない体になっちゃう//
今度こそ桐乃さんは部屋から退出し、玄関に向かう。
「...いいところだったのに」
もう寸止めプレイなら夜に一人で何回もしてきたから飽きたで?
まぁ、でもこんな風にちょうどいいところで邪魔が入るってのもSSやエロゲあるあるだな。
で、だいたいここからいろいろとハプニングが起こるというのが定番だが、まぁさすがにこのセキュリティがしっかりしている家で
「なんでここにきみがいるのかな?凛華ちゃん?」
...あれ?
今なんか、よくないワードが聞こえてきたような。
ここから玄関までは確かかなりの距離があったため、微かにしか聞こえないが、それでも今なんかよくないワードが聞こえてきたというのは分かる。
「学校はどうしたの?それに、どうやってわたしの家を見つけたのかな?」
あーこれはちとやばいな。
もしかしたら今日の夜この家には大警察と大量のマスコミが押しかけてくる可能性がある。
「ねぇ、勝手に中に上がらないでもらいたいな。まずはわたしの質問に答えてくれないかな」
声の音響で、今桐乃さんは移動しながら話しているということが分かる。
多分...キッチンにいるのか?
「ねぇ、無視しないでもらっていいかな?私が許可してないのに入るのは立派な不法侵入だよ」
お、また位置が移動した。
今度は階段の前か...
...これ、近づいてきてね?
この部屋に。
「...ねぇ、いい加減止まってくれないかな...止まれ」
あ、桐乃さんの口調が変化した。
俺以外にあの口調で話すということは、今一緒にいる相手はそんなに桐乃さんにとってよろしくない相手なのか?
でも、まぁ俺の身近な存在じゃないってのは確かやろ。
だって俺の身近な奴らは全員今は学校にいるんだから。
確かにさっき玄関でなんかもの凄く聞いたことのある名前のフレーズを桐乃さんが口にしていたのは聞こえたが。まぁそんなわけないか。
「それ以上先に行くなら...後悔するよ?凛華ちゃん」
今のは完全に聞こえた。
今桐乃さんと一緒にいるのがここにいちゃいけない人物第一位の、クール系ヤンデレ妹である凛華だということが。
そして、もう真下から聞こえてくるということは、階段を上っている最中なのだろうか。
「あーあ。私の警告無視しちゃうんだ。ならもう止めないよ」
...なんか、この桐乃さんの諦めるような感じ怖いな。
あれか?本当は手を汚したくはないがこうなってしまった以上仕方ない的な?
やや早歩きの足音がこちらに近づいてくる。
これは...桐乃さんのではなく、凛華のだな。
そして案の定予想が的中して、部屋のドアが破壊されるほどの勢いで開かれ、凛華が制服姿のまま足を踏み入れてきた。
制服姿のままということは...学校を早退してまでこちらに向かってきたということか。
凛華が部屋の中に入った瞬間、すぐに顔がこちらの方に向いた。
「......」
何かを言いたそうにしているが、それを堪えているような無表情ともとれる顔。
俺の顔から視線をずらすと、今度は一通り部屋の中に目を通す。
...なんだこの強キャラ感。
まるで学校で人気な王子様彼女が、想い人である聞き手がいじめられている場面に遭遇し、すぐに手を出すわけではなくイジメていた全員の顔を一人一人まじまじと観察するのと同じ雰囲気だ。
一通り部屋の中を見渡すと、今度は部屋の前で
「...ねぇ凛華ちゃん、分かっていると思うけどもしきよ」
と、桐乃さんの声が聞こえてきたが最後まで言い切る前に凛華がこちらに向かって一直線で走ってきた。
え、なに//
そしてそのまま俺をベッドの上に押し倒すと
「んっ」
深いキスを浴びせてきた。
歩歌のように下品に音を立てるわけでもなく、ただ深く愛するかのような自然なキス。
そして当然こんな姿を桐乃さんに見られたら...
「......」
あ、もうバリバリこっち見てるやんけ。
桐乃さんは俺がキスされている様子を数秒の間、なんの感情も見えない顔で観察していたが、我慢できなくなったのか、そのまま無言でこちらに飛び込んできた。
走ってきたのではなく飛び込む。
遠くから飛んでバスケットゴールにダンクシュートを決めるかのような体勢で。
もう桐乃さんが俺と凛華の手の先が当たる位置まで来たとき
「っ!?」
凛華が音速並みの速さで、俺の口から唇をはなし、ポケットからハンカチを取り出し、桐乃さんの頭を掴んで鼻と口に押し当てた。
桐乃さんが、しまったと言わんばかりに目を見開いたときにはもうすでに体の力が抜け切ったように静かに倒れこむ。
とうとうクール系が、完璧系を破った...
だったらもう俺は凛華に食われるのが道理だよな//
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます