明日も寒い日でありますように
「はぁ、寒い」
朝、通学路を歩きながら両手に息を吹きかけた。生暖かい風が手のひらを気休め程度に温める。
「手袋、忘れたの?」
「うん。急いでて忘れちゃった」
うそ。わざと忘れた。
前髪をセットするのに十五分かけられるくらいの余裕もあった。
「こんな寒いのにドジだなぁ。ほら、僕の使って」
彼は自分のつけていた手袋を外し、渡してくれる。
ほんと、優しいんだから。
「……ありがとう」
私は、両手に彼の手袋をはめた。温かい。
でも、そうじゃないんだよ。
手袋は、片方でよかったの。
もう片方の手は、繋ぎたかったの。
やっぱり、少女漫画みたいに上手くはいかないよね。
「なんか、湿ってて気持ち悪い」
「え?! うそごめん! やっぱり返して!」
「やだ」
「ええ?!」
察してよ、なんて言わない。
素直に手を繋ぎたいって言えない私が臆病だから。
だから、この手袋は私が預かっておきます。
明日は二人とも手袋はありません。
明日も寒い日でありますように。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます