ニーグディロスト
瀬戸 森羅
プロローグ
その樹は、世界で1番大きかった。
ヒトが生まれる遥か古から存在し、今なお成長し続ける。
長い長い時の中で、それは神と崇められたこともあった。
だがそれは長い時を生きすぎた。
ヒトはやがてその樹が崇められていたことを忘れてしまった。
大きな大きな邪魔な木だと思ってしまった。
その樹の名は二ーグディ。
世界樹と呼ばれていた二ーグディも、今では名もないおおきな木。
伝説を知る者はみな、死に絶えてしまった。
そしてついに、二ーグディは終わりを迎える。
ヒトがその樹を燃やしてしまった。
長い長い時を生きたその樹は、長い長い間燃えた。
ひと月を越えた頃、ようやくその樹は根元まで焼け落ちた。大陸が灰で埋まった。
大陸から避難していたヒトは、それを清浄するために再び大陸を訪れる。
それこそが、新たなる歴史のはじまりだった。
この樹が焼け落ちたその時から、「解樹歴」ははじまった。
これは人類の、新たなる世界への挑戦の話。
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