ゲーム・1

「今日は負けないよ。そのためにこっちも人連れてきたんだからね」


 リタは、スムルを指さして言った。


「今日もオレたちが勝つ!」


 スムルが、自信満々な態度で返答した。


────────────────────


 『チーム・リタ』VS『チーム・キマイラ』の1試合めが開始される。


 試合時間は前半と後半で15分ずつで計30分。この公園内だけでのローカルルールだ。



 スタメンは『チーム・リタ』がリタ、ビン、エレナ、ライアン、雄大の5人。全員経験者だ。


 『チーム・キマイラ』は、バヤハ、タクノ、ムム、ユパケ、レイヴィスの5人。スムルは控えだ。



(彼は秘密兵器というやつか…)


 雄大はスムルの方を見た。彼はコートの外で、地面にあぐらをかいてどっしり座っている。


 プタラが、ボールを宙空に放った。


 バヤハとライアンがジャンプ。ライアンが自陣にボールを入れ、ビンが拾った。チーム・リタが先制だ。


 ビンの前に、すぐにタクノとユパケの2人が立ちはだかった。


 相手チームのディフェンスが堅く、パスもなかなか出せない。


 ビンはドリブルに緩急をつけ、周囲に目を配る。


 彼はタクノのおでこにボールをぶつけて

、そのボールをまた自分で取るなどして相手を撹乱した。


 一瞬の隙を突いて2人を抜いたビンは、敵のカバーが来る前に、リタにパスを出す。


 リタのディフェンスにムムが向かうが、リタの俊足には追いつけない。


 リタはゴール前まで切り込んで、レイアップシュートを放つ。


 しかしゴール下に居たレイヴィスに、ボールをはたかれて落とされてしまった。


 こぼれ球をエレナが拾い、すぐに撃つがリングの周囲を回って外側に落ちる。

 

 ゴール下には、ライアンと雄大とバヤハとレイヴィスが集まってきていた。


 雄大がリバウンドをするために跳ぼうとするが、レイヴィスの背中でがっちりガードされ押し負けてしまう。


(この人、やっぱり見た目通りフィジカルが強い……)


 レイヴィスの鍛え抜かれた身体での踏ん張りに、手も足も出ない。


 バヤハとライアンが跳んでボールを奪い合うが、バヤハがリバウンドを制して、チーム・キマイラのボールとなった。

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