管理人の実力・4

「異世界の皆様、よく見ておいてください! 宿舎の管理人といえど、これでも私は高位の魔導士です。大人しくしておくのが身のためですよ!」


 ケイギは、自分の力を見せつけた。


 雄大に、リタやビンに、その場に居る全ての異世界者たちに。

 

 そして、皆の心に刻まれた。


 〈ケイギには絶対に勝てない〉という刻印が。


 この数秒後、どうにも出来ない現状を悟って、泣く者が続出した。


 レイモンドは膝から崩れ落ち、頭を抱えて「ママー!」と叫んだ。



「す……すみません! も……もう逃げません……!」


 ビンは、声を震わせて泣きながら言った。


 「よろしい」と言って、ケイギは全ての魔法を解いた。


 ビンは、力なく立ち尽くしている。


 リタは、うつ伏せになったまま、荒い息遣いでその場から動けないでいる。


 それでも彼女は、ケイギを真っ直ぐに睨みつけていた。

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