第38話  修司、男性社員とも飲む!

 修司のいる営業部には、男性スタッフもいる。29歳、主任の近藤金造。28歳、山南銀造。27歳、沖田春彦。26歳、永倉夏彦。25歳、斎藤秋彦。24歳、松原冬彦。彼等も、女性陣を狙っていた。だが、修司を女性陣が取り巻いているので接点が無かったのだ。男性陣の不満を察して、桔梗が営業部全員参加の飲み会をセッティングした。男性陣は大喜びだった。



「「「「「「「「「「「「「「「乾杯-!」」」」」」」」」」」」」」」


「いやー! いいですね。こういう場! 黒木さん、調子どうですか?」

「あ、はい、調子はいいと思います」

「わからないことがあれば、なんでも聞いてね」

「沖田さんは、調子いいんですか?」

「え! いやぁ、俺は……営業会議でも言ったけど、先方の担当者が社長と喧嘩して会社を辞めたから、1件受注できると思っていた大口契約が取れなくなったから」

「あ、営業会議でおっしゃっていましたね。今期はノルマを達成できないかもしれないって」

「まあ、今期はね。でも、前期はノルマを達成してるし。前々期も達成してるから。だから、黒木さん、相談に来てよね」

「はい……ですが、今はご自身のノルマを達成するのに大変な時期ですよね? また落ち着いた頃に、何かありましたら相談しますね」

「うん、あ、ああ……あはははは。ところで、黒木さん」

「なんでしょう?」

「今、恋人はいるのかな?」

「いませんよ」

「じゃあ、今度の土日、ドライブでも行かない?」

「あ、いえ、好きな男性(ひと)はいますので」

「ふーん……そうなんだぁ。どのくらい好きなの?」

「他の男性が目に入らないくらい好きです」

「……」



「いやー! 白木さん。一度、こうして飲みたかったんだよ」

「はあ、ありがとうございます」

「白木さんを見てると応援したくなるんだよねぇ」

「ありがとうございます」

「でも、白木さんってスタイル良いよね? 顔もキレイだし、芸能人みたい」

「そんな、永倉さん、褒めすぎですよ」

「そんなことないよ。俺は白木さんのファンだからね」

「ファンですか? ええ! それは恥ずかしいです。やめてください」

「ところで、白木さんは彼氏がいるのかな?」

「いえ、いませんよ」

「じゃあ、誘いやすいなぁ、今度、どこかに行かない?」

「うーん、今回は辞めておきます」

「どうして?」

「好きな男性がいるからです」

「でも、その男性とは付き合ってないんだろ?」

「はい。でも、今はその男性以外とはデートしたくないんです」

「……」



「いやー! 赤井さん、いや、千秋ちゃんって呼んでもいいかなぁ」

「いえ~赤井でいいです~!」

「……仕事で困ってること無い?」

「困った時は~桧山主任か~課長が~助けてくれます~!」

「そうか、まあ、何かあったら遠慮無く相談してね」

「はい~わかりました~!」

「赤井さんは、今、付き合ってる人はいるの?」

「いませんよ~♪」

「じゃあ、今度どこか行かない? テーマパークとか」

「テーマパークは好きです~でも~斎藤さんとは行けません~!」

「え! どうして?」

「好きな人が~いるからです~その男性以外と~今は遊びに行きたくないです~!」

「……」



「いやー! 青田さんと1度ゆっくり話したかったんだよ」

「はあ、そうですか」

「僕達、歳は近いけど、一応俺の方が先輩だからなんでも聞いてね」

「はあ、じゃあ、そうします。よろしくお願いします、松原さん」

「うん、うん。それで、青田さんは恋人いるの?」

「恋人はいません」

「じゃあ、今度どこか行かない?」

「はあ……今は行かないです」

「どうして?」

「好きな男性がいるからです」

「いいじゃん、片想いなら、遊びに行った方が気分転換になるよ」

「いえ、いいです。今はその好きな男性のことしか考えられないので」

「……」


 男性社員4名、同じパターンで撃沈。



「部長、俺、部長のことが前から好きなんですよ-!」

「近藤君、飲み過ぎよ」

「酔わないと告れないですよ。俺、年上が好きなんです。部長は俺の好みのドンピシャ! ストライクゾーンのど真ん中なんです」

「あら、嬉しい。ありがと。でも、私も年上がいいの、ごめんね-!」

「うわ! 一瞬でフラれた」


「桧山さん」

「なんでしょう? 山南さん」

「今度、遊びに行こうよ-!」

「すみません、行きません」

「なんで? なんでなの?」

「好きな男性がいるからです」

「付き合ってないんだろ? じゃあ、いいじゃん。遊ぼうよ。遊んでいる内に親しくなれるんだから」

「好きな男性以外とのデートは、今は控えていますので。新人達どうですか? カワイイ娘(こ)ばかりですよ)

「……」



「みんな、今日は林檎さんと蜜柑さんの歓迎会も兼ねているのよ。林檎さんと蜜柑さんをもっと盛り上げないと」



 それぞれフラれた男性陣が、林檎と蜜柑の周囲に殺到した。


「今、彼氏はいるんですか?」

「年下はお嫌いですか?」

「やっぱり年上の方がいいですよね?」

「いやいや、同い年が1番でしょう?」

「どんなタイプの男性が好きですか?」

「僕なんかどうですか?」

「「いえ、あの、その……」」

「もしかして好きな男性がいるんですか?」

「「私達、好きな男性がいます-!」」

「「「「「「嗚呼!」」」」」」


 その時、千秋が言った。


「なんだか~今日の飲み会は~おもしろくないです~!」


 女性陣からツッコミを入れられた。



「「「「「言うな!」」」」」







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る