第5話 一蓮托生

 最近は、こういう発想が多く、最近はやり出した、SNSというものに、こういう話を呟くようになると、自分をフォローしてくれる人に、時々意見をしてくれる人ができたのだった。

 その人は、どうもそのSNSの中で、SNS特有の話で、自分で思っているよりも、余計なことに巻き込まれたようで、悩んでいるということを、仲良くなって聞かされたのだった。

 その内容は、どうやら、

「人が信じられない」

 ということだったようで、SNS内で、今までそんなに仲のいい知り合いというものがいないかすみにとって新鮮だったのだ。

 彼女がいう話としては。

「自分は、SNSの中で、仕事をしているのだが、その仕事というのは、イラストの仕事で、一人ではなかなかできないので、協力者という意味で、二人の男性が、自分のプロモーションをしてくれて、そこで、仕事をとってきてもらうという形式にした」

 ということがまず、前提としてあったという。

 そして、

「自分がそういう仕事をしているということを知っている、他の女の子がいるのだが、その子が、自分も同じような仕事がしたい。だとすると、いくらくらいで引き受ければいいか? と相談されたという。そもそも相談された方の子は、一度イラストレーターとしてデビューしたのだが、病気になったことで、活動ができなかったのだが、少し収まってきて、医者の許可も出たことから、再開したのだという」

 要するに、プロのイラストレーターと見込んで、女の子が相談してきたということなのである。

 SNSのサービスの一つにある、

「オープンチャットの音声バージョン」

 のようなものがあって、そこで相談してきたのだという。

 確かに、そういう場所で、相談する問題かどうかというのも、微妙であったが、その場所にいた人はほとんどが知り合いということで、別に隠すことでもないということから、相談を受けたのだ」

 という。

 だから、公開での、話となったわけである。

 実際の場所の主催者は、とりあえずは、反対もなく、

「話題の提供」

 ということからか、暗黙で、この話題になっても、口出しはしなかった。

 ということで、彼女は、相談してきた相手に、大体自分が考えている値段を提示したのだった。

 だが、それまで黙って聞いていた人が、

「それでは高すぎる」

 といって、口を出してきたのだという。

 その時はホストではなかったが、どちらかというと、その場の話題によっては、マウントを取りたがる人らしかった。その時も、話を聴いて、一言言いたくなったのだろうが、次第に話が拗れてきて、しまいには、

「俺だったら、こんなに高かったら、依頼なんかしない」

 ということになったようだ。

 彼女からすれば、

「それくらいの金額は妥当だ」

 というのが、かすみが聴いても、

「そうだね、下手に値段を下げると、高い正当な値段でやっている人から、文句が出ないとも限らない」

 と思ったのだ。

 それをいうと、

「そうでしょう?」

 といって、彼女も共感者がいてくれることを、真剣に喜んでいたのだ。

 話はさらにヒートアップして、どうやら、元々相談してきた女の子は、

「SNSを辞めた」

 というのだ。

 しかも、その時に悪者にされたのが、その時の相談を受けた彼女であり、余計な口を挟んだ男からは、ブロックを掛けられた」

 というのだった。

 しかし、その場でのことであれば、別に何ら問題はない。

「そんな連中と付き合わなければいい」

 というだけのことなのだが、問題はそれだけにとどまらなかった。

 というのも、

「その話は、かすみが相談を受ける、3日前だった」

 ということだった。

 話がここで終わらなくて、厄介になってしまったのが、その翌日からだったというのだ。

「彼女のことをプロモーションしていて、裏方として応援してくれていた二人の男性がいるのだが、一人の男性のところに、彼女についての問い合わせが殺到した:

 ということであった。

「問題が起こっているようだけど、大丈夫なのか?」

 ということの問い合わせだという。

 それは、イラストの製作依頼者なのだというが、その問い合わせは、プロモーション側にばかり殺到して、渦中であり、製作者としての彼女のところには、まったく相談がこないというのだ。

 確かに、

「何かの問い合わせは、私を通して」

 とプロモーションの人は言っているのかも知れない。

 しかし、実際の作品への要望には、個人間でのやり取りができるアプリで、メッセンジャーのごとくにできるもので繋がっているのだから、別に本人に問い合わせがあってもしかるべきなのに、まったくないというのも、

「少しおかしいな」

 と、その時、かすみは感じたのだった。

 ただ、問題はここからで、問い合わせをされたプロモーションの男とすれば、確かに、

「寝耳に水」

 だったことだろう。

「自分の知らないところで、勝手にトラブルを引き起こした」

 ということなので、当然、

「何してくれてるんだ?」

 と感じるのは、当然のことだろう。

 だから、当然の流れとして、彼女に、

「一体何があったんだ?」

 ということで、聴いてくるのだった。

 ここまでは、当たり前のことであり、当然の順序での対応である。

 だから、彼女は、事情を説明したのだという。

 ここまでも、普通であった。

 しかし、プロモーションをしている男は、そこまで聞くと、態度が急変したという。

 ここまでは、経緯についての話であり、彼女の感情は含まれていなかった。それなのに、男の方は、まるで、彼女が、

「余計なことをしてくれた」

 としてしか、見ていないようだった。

「あの人、私の話を聴いて、自分の意見をいうだけ言って、私に何も言わせないのよ」

 というではないか。

 かすみとしては、それを聴いて、

「それはひどいわね。プロモーションを引き受けたのだとすると、まずは、プロモーションをする相手を庇うのが当たり前なんじゃないのかしら?」

 というと、彼女の方も、

「うん、そうだと思うわ」

 というのだった。

 要するに、今のところ、

「他のところで、軽く相談されただけのことが、大げさになってしまい、しかも、相談者が、悪いのは、相談した相手ということとして、SNSからいなくなったことで、事態は、完全に彼女が悪者となってしまい、

「完全に、四面楚歌になってしまった」

 ということなのであった。

 要するに、

「梯子を掛けられて、上に登ることを促され、登ってしまうと、その梯子を外された」

 という事態になってしまったのだという。

 そして気が付けばまわりは敵だらけの四面楚歌。

 しかも、自分の死活問題としての、

「自分をプロモートしてくれている、スタッフが、彼女を信用していない」

 という事態となり、最悪な状態になっていたのだ。

 というのも、プロモートしてくれている男性は、最初に、

「それじゃあ、高すぎる」

 といって、キレた男性とは、繋がっているのだ。

 最初にキレた男性のことを、

「アニキ」

 といって慕っているくらいなので、彼女としても、自分のところに話を聴く前に、先に相手から聞いているだろうから、その時点で、彼女に勝ち目はないわけであった。

 ただ、プロモーションをしてくれる人が当てにならないといって、切ってしまうと、せっかk、軌道に乗りかけたイラストの仕事というのが、うまくいかなくなってしまうであろう。

 これは、本当に死活問題であり、実際に、依頼した人からの問い合わせが殺到しているということで、その人とすれば、

「何を余計なことをして」

 ということで、怒り心頭になっているということだろう

「確かに、外見では、その通りなのかも知れないが、細かいところでの人の感情が渦巻いていることで、話が混乱しているのだ」

 ということになっているので、

「どうしていいのか分からない」

 と、かすみに相談してきたのだ。

 かすみとしても、

「彼女の方からしか話が聴けていない」

 というところがネックだったが、

 それでも、彼女に対しては、彼女にも精神疾患があるということで、そんな状態で、

「健気に頑張っている」

 ということで、応援したくなるというのも、無理もないことだ。

 だから、どうしても、彼女がわからの贔屓目にしか見えないという状態になるのだった。

 彼女の方とすれば、

「精神疾患」

 というものもあることで、ストレスから、身体的な異常もいくつか散見されるようになってきたということで、

「精神的にも肉体的にも、参っている」

 ということであった。

 そんな話を聴くと、とりあえず、なぐさめるということもあって、

「彼女の意見を、全面的に支持する」

 ということしかできない。

 精神疾患がなければ、問題はないのだが、精神疾患があるということで、

「他にどうすればいいのか?」

 ということになり、問題が厄介になりかねないではないか?

 そんなことを考えていると、彼女が可愛そうになり、

「何とかしてあげたい」

 と思うのだが、正直、何を言っていいのか分からない状態だった。

 何と言っても、

「イラスト業界」

 であったり、

「プロとアマの境界線」

 というところが、正直分かっていないのだ。

 下手なアドバイスもできないし、今のところ、

「彼女の身になって、寄り添ってあげるしかないのかな?」

 と考えるようになり、なるべく彼女の考えに賛同するようになったのだった。

 この場合、元々因縁を吹っ掛けてきたという相手が、本来なら、

「一番の元凶だ」

 といってもいいのだろうが、

「すでにブロック済み」

 ということで、これ以上関わることはないだろう。

 しかし、分からないところで、最初の依頼者であった彼女というのが、

「SNSを辞める」

 と言っておいて、最初から、

「そんなことを言った覚えはない」

 とばかりに、しれっと戻ってきているというところが、かすみにとって、不思議に感じるところであった。

 となると、一番の問題は、

「プロモーションをお願いしている人で、その人が機嫌を治さないと、先に進まない」

 ということだったのだ。

 本来なら、かすみとすれば、

「そんな人、無視すればいい」

 と言えるのだろうが、相手がプロモーションをしてくれている人なだけに、下手に逆らって、自分が不利になるというのも避けなければならないだろう。

 今はまだそこまでイラストの仕事があるわけではないのだろうが、それでも、生活をしていくうえで、貴重な収入であるということに変わりはないのだった。

 それを考えると、下手に、

「そんなやつに関わることはない」

 と言えないのがつらいところであった。

 だから、かすみの方としても、

「ストレス」

 につながるのだった。

 とりあえず、彼女との間だけの話だけなので、かすみは、その男性がどのような人なのか分からなかったが、

「彼女の味方をする」

 ということしかできなかったのだ。

 だから、

「その人もひどいよね? プロモーションをしているのであれば、自分のところの社員も同然なので、助けるようにしてしかるべきなのに、それもせずに、一方的に責めるというのは、どういうことなんだ?」

 と、いうような話しかできない。

「プロモーションをするということは、それだけ、あなたを信用しているから引き受けたんでしょうに、今のままだと、完全におかしい」

 と言いたかった。

 ただ、やはり問題は、プロモーションをしている彼にとって、最初にもめた相手とは、昔からの知り合いのようで、SNS上で、公然と、

「アニキ」

 として慕っているということを目の当たりにすると、

「その人の手前、彼女の味方をするわけにはいかないんだろう」

 ということは察しがついたが、それにしても、彼女だけを悪者にするというのは、

「果たしてどうなのか?」

 と考えざるを得ないのだろう。

 そんな状態において、

「とにかく、彼女を慰めたり、元気づけるためには、私が悪者になっても仕方ないかな?」

 と考えたのであった。

 ただ、これは、最初からの一番のネックとして、いや、危険なこととして、君臨している状態は、

「彼女の話以外は、すべて彼女の話からの想像でしかない」

 ということだ。

 だからこそ、

「彼女の言っていることを、すべて正しい」

 として鵜呑みにしてしまうと、今度は、

「この私が梯子を掛けられたままの状態になりかねない」

 ということであった。

 その状態は、彼女の、

「話を聴いてしまった」

 ということから、呪縛として、自分の中に残ってしまったかもしれないという思いも、かすみの中にはないわけではないのだった。

 実際に、二人だけの中では、

「彼女の話に出てきた人は、彼女以外は、すべて彼女の敵」

 ということになっている。

 だから、どうしても、

「彼女以外の人を信じられなくなり、自分は、彼女と一蓮托生であるということお分かっている」

 ということだった。

「一蓮托生」

 というと、

「彼女が転ぶと、自分も一緒に転ぶ」

 つまり、

「彼女が潰れてしまうと、自分も一緒に潰れることになる」

 ということなので、それだけの覚悟がないと、嵌れないということになる。

「じゃあ、かすみに、それだけの覚悟が彼女に対してあるというのか?」

 ということであるが、考えてみれば、

「二人は、ネット上の付き合いというだけで、別にリアルな関係でもない」

 さらに、付き合いもそんなに深いわけではなく、SNSで話をする程度であり、のめり込むだけの理由が、どこにもないわけだった。

 しかし、かすみとしては、

「話を聴いてしまった」

 という思いがあり、

「話を聴いて、自分の態度を明確にしないのは、せっかく相談してくれた人に悪い」

 ということを考えていた。

「自分のことを気にするわけではない、徹底的なお人よしだ」

 ということになるのだが、この場合の、

「徹底的」

 というのも、かすみだけが感じていることであって、他の誰も知らないのだから、普通であれば、

「徹底的」

 などという言葉が、この状態で出てくるわけのないことであり、それを思うと、誰も助けてくれるはずのないことなのであろう。

 そんな状態となり、本人は、

「徹底的に、支持する」

 という状態となったのだが、実際には、まわりはおろか、相談してきた彼女も、果たしてどこまで、分かってくれているかということも、疑問なのではないだろうか?

 かすみとすれば、

「そのあなたをプロモーションしている人のことが、信じられないわね。あなたが、プロモーションするにふさわしい人か? ということを自分で試して、それで、自分がプロオーションしようということにしたんだから、自分の会社の社員を信用していないのと同じなので、それはおかしいよね。会社というよりも、個人契約なのだから、もっと絆は深いものっだと思うんだけどね」

 とかすみはいった。

 すると、彼女の方も、

「ええ、そうなの。あの人は、私の話を聴こうともせずに、全部自分の意見をいうだけ言って、最後には、これ以上、余計なことをいうなと言って、私を抑えつけようとしているの」

 というではないか。

「それはひどい」

 と口で言っておいて、心の叫びもまったく同じ言葉だった。

 彼女の話を聴く限りでは、まったく彼女に落ち度はない。

「ただ、トラブルに巻き込まれただけだ」

 ということである。

 ただ、彼女と知り合ってから、彼女のことを少しずつ聞いたが、どうも、トラブルに巻き込まれることが多いという。かすみと知り合ってから、2カ月くらいであるが、実際に彼女から聞かされる大小を問わないトラブルとしては、何件も存在し。その状態をいかに捉えればいいのか、正直迷っているところがあった。

 普通なら、

「この短期間で、こんなにトラブルに見舞われれば、精神疾患になるのも無理はないというべきか」

 それとも、

「彼女が精神疾患で、やはり余計なことを言ってしまうことで、トラブルを引き起こすのか?」

 正直、よくわからない。

 しかし、かすみは、最初に、

「彼女を信じる」

 と感じたのだから、もう、そうするしかないということであった。

 だが、実際に、

「本当にそうなのだろうか?」

 と思えるようなことがあった。

 彼女は、自分をプロモーションしてくれて、

「それなのに、自分の意見を聞いてくれなかった」

 ということで怒っているはずのその人を、確か憎んでいるのではなかったか?

 だから、かすみも、

「彼女が怒っているのだから」

 ということで、

「一緒になって、怒りを一緒にぶちまけたのではなかったか?」

 と感じたはずなのに、何と、彼女は、その男性に対して、発言に普通の会話で、返事を返しているのを見たのだった。

 内容としては、普通に、

「おいしそうな画像を載せていて、ちょっとしたコメントが書いてある」

 というだけのものなのだが、それに対して彼女は、

「おいしそうです」

 と普通であれば、何でもない会話なのだが、今のお互いの立場を考えると、

「おいおい、そんな会話あり得ないだろう?」

 という、信じられないものだった。

 喧嘩して絶交している相手の投稿に、普通の会話とはいえ反応するなど、あり得ないのではないだろうか?

 そんなことを考えていると、

「一体何を信じていいのか分からない」

 という気持ちになっても、無理もないことではないだろうか?

 普通であれば、自分の気持ちを聴いてもらいたいと思うのは無理もないのだが、親友のように思っている相手を引き込んでおいて、自分に同意させておいて、それなのに、自分は、

「いけしゃあしゃあ」

 とばかりに、相手と普通に会話する。

 これは、一種の裏切り行為ではないだろうか?

 その話を聞かされた時点で、かすみは、完全に、

「そこに出てきたすべての人間を、嫌悪する」

 という状態になっているのだ。

 だから、思ったことを言って、しかも、

「私は彼女の味方だから、安心していい」

 という気持ちで安心させるために、本来は、

「何の恨みもない人」

 に対して、不本意ながら、悪口を言ったまでのことなのに、そんな思いをさせておいて、自分は、

「何を好きなことをしているんだ?」

 ということである。

 本来であれば、彼女の話から、

「私が助けてあげたのに、その助けようとした相手から梯子を外された」

 という話ではなかったか?

 今の状況は、自分が、彼女の立場になっていて、まるで、信じ込むような状態にさせられ、

「相手を救いたい」

 という気持ちを利用され、まるで、

「洗脳されたかのようになってしまった」

 ということが、大いなる事実として、考えただけで、ムカムカくることが、こんなにも、公然と行われるというのは、本当にどういうことなのだろうか?

 それを考えると、それこそ、

「マトリョシカ人形」

 であったり、

「合わせ鏡」

 とでもいう状況なのだろうか?

「一蓮托生」

 という言葉の意味、本当はこういうことではなかったはずだ。

 それを考えると、

「一番の貧乏くじを引いたのは、一体誰なのだろう?」

 と、思うのだが、分かっていることのはずなのに、結局それが自分であるということを認めたくないという気持ちでいっぱいなのだろう。


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