ベノムマギア~貞操逆転世界に迷いこんだ俺は命の危険に晒されている~
アズリエル
第一章
第1話 オワコン世界よこんにちわ
いつ気づいたのかは、分からない
気づいたら俺は3歳ほどの子供で、幼稚園の庭で遊ぶ子供たちの男女比で違和感を覚えた。
周りで駆け回る子たちは女の子ばかり、たまに見かける男の子は、女の子に囲まれ、埋もれている。
人集りの中心でふんぞりかえる男の子は俺様系のクソガキ
何と言えばいいかわからないが、自分の見ている光景が圧倒的に違う気がしてならない。
そんな何とも言えない違和感は、次第に膨れ上がり頭の中で流れ続けるCMの曲のように俺の頭を占領した。
どうしても気になって仕方がなかったので、帰宅後俺の相手をして疲れ果てた母親のスマホを拝借し、調べてみることにした。
そこでわかった事実
この世界は人類の数が少ない、自分の中の世界は70億人ほどいた気がするが、この世界では20億人いるかいかないかほどである…と言う事である。
翌日も、幼稚園の中心にある、遊具の地球儀を確認したが地形は変わらず、俺のいる国も日本であった。ただ、北海道や九州、など一部黒塗りになっており、何かしらの問題があることが予想できる。
そんなことを考える中、幼稚園の先生からの合図で、俺たちは部屋に戻った。
部屋には赤、青、緑、黄色、など色とりどりの髪色をした幼児がワラワラと遊んでいる。
前の記憶があるため違和感があるが、この世界ではコレが基本だ。俺だって髪の毛深い紅色だし…
俺のクラスさくら組は、女子24人男子2人というメンバーで構成されている。俺以外の男子は先日の俺様君だ。
この世界でもイケメンは人気であり、俺様君は大人気だ。
将来イケメン確定の顔を今からでも粉砕してしまいたい。
かと言って自分が不細工なのかと言えば、そういうわけでもないのだが、人気者への妬みとして受け取ってもらって構わない。
そんなほとんどの女の子が俺様君に群がる中、部屋の隅でポツンと座って本と言うか教本を読んでいる美幼女がいた。
さっそく仲良くなろうそうしよう
我ながら最低な思考だが、将来の幼馴染が自分の好みの子であるなら日々の生活が鮮やかになること間違いなしだ‼︎
と、あほくさい思考停止状態の俺は動く。
あとクールなジト目気味の切れ長の瞳に惚れました。ド性癖です、さすがに幼すぎるから興奮はしないが、将来を思うと興奮します(迫真)
そんな冗談はさておき、ボッチな俺の仲間をもとめて話しかけてみる。
「なによんでるの?」
舌ったらずの声で話しかけると、本を読んでいた幼女は一瞬俺を見るが、再び視線を本に戻してしまった。
「マギアの本…」
「まぎあ?」
「…ん、これ」
彼女が見せてくれたのは、機械仕掛けのスーツをまとった少女たちが、なにか黒い物体と戦っている写真だった。
青の蛍光色ラインが入った近未来のスーツのような肌にピッタリと張り付く黒い布を纏い、肩は露出している。
袖は少しヒラっとしており、肘や腕の部分にはブースターのような装甲がついている。腰回りはポーチや小太刀がついており、青い光がブースターから粒子のようにこぼれており神々しい。
足はハイソックスに覆われ黒と青の金属製ブーツが膝辺りまで伸びていた。
乏しい文才で表現するにはいささか難しいが、メカニックな装甲を身にまとった高校生ほどの少女が、ウニと戦っている写真と言えばわかってくれるだろうか?
武装が当然の如く中に浮いているのはさておき、この黒いウニのような液状の化け物は何なんだ?
「なにこれ」
「戦ってるのがベノムマギア、ウニみたいのがベノム」
ムッフっとなぜか自慢気に語る彼女だったが、表情筋は機能していない。
「私はマギアになりたい」
それから彼女の淡白な説明をなんとか理解していくと、分かったことがある。
まずベノム
宇宙からやってきた地球外生命体、男が好物であり捕食してくる。
名前からしていかにもダークヒーローを浮かべがちだが、見た目は近しいものがある。
そのダークヒーロ―から、顔のパーツを全部抜き取った黒い液体生物を想像してほしい。
その化け物はあらゆる兵器がその液体性からほとんど通さず、変幻自在であらゆる場所に適応してしまい、とても厄介らしい。
無理に攻撃すると分裂してしまうので、ベノムマギアによる殲滅が理想とされている。
敵の体内のどこかに核となる液体の塊があり、外装を覆う液体とは別の真っ赤な液体は、ベノムマギアと言われる少女たちの力で破壊することができると分かっている。
ベノムは男を優先して捕食し女は無視か殺す、捕まってもベノムの素を体に植え付けられる。放置すると体を突き破って新たなベノムとして生まれてしまうが、安価な素材で作れる抵抗物質で簡単に除去可能。
ベノムの大きさはビルほどのものからゴキブリほど小さな個体もいる。
ベノムマギアについて
特殊加工されたベノムの核を体内に取り込み、倒したベノムの素材を特殊な繊維に染み込ませた特殊スーツ、通称【ボルト】を身にまとって、ベノムと戦う少女たちのこと
ベノムを体に取り込むことで、常人を遥かに超えた身体能力と耐久性、回復力をもつ。また一部の者はベノムの性質を操ることができる。
一般的に中学生から高校生の間に取り込むことでより親和性が高まることがわかっており、18歳を超えるとほとんど適合することはない。
適合率は個人差があり、平均10%、30%行けば才能アリとされている。なお特定の行動で適合率は上昇することが確認されている。
人類の状況について
ベノムが地球に降り立ったことで、人類は大きな被害を受けた。男はベノムによって大半を捕食されてしまった。比較的とは言え襲われにくかった女性ばかり残る始末…
後に女性同士で子供を作れるようにはなったお陰で人類の数自体は多少回復したが、女性同士から生まれる子供は女の子のみであり、男性は減る一方という状況が続いた。
その結果男女比が著しく偏ってしまった。
またベノムの進行により一部地域が人類の住めない領域に変貌してしまっていた、それがあの黒塗りのマップだ。
人類が住む領域を生存圏、ベノムに占拠された場所を危険区域と言う。
「ん、あれが境界線の壁」
彼女が指をさしたのは、教室の大きな窓の先に建っている巨大な壁だ。
無骨な風貌と天井部分に大きな反りがあるのが特徴的で、平和そのものな町の風貌とはミスマッチである。
「ところで名前!まだ聞いてなかった。おれは
「…
「シロか、よろしく!」
「ん、よろしく…ユウ」
ココから俺とシロの関係が始まった。4割の打算と6割の友情により、俺はシロから離れることはないだろう。
将来守ってもらいたいしね!
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