第23話 戦場コテージ②
「最初は障がい者、と聞くと戸惑うかもしれないが、それは当たり前だ。よく知らないからな。百聞は一見にしかずっていうだろう?
自分とは違う人とも、会ったり話すことが大事だ。
俺もな、最近車椅子に乗っている奴と出会ったんだ。車椅子って聞くと、のんびり動いているイメージがあるだろう?
所が奴はびゅんびゅん動く。びきうりしたよ。ガチで。
この動画をたくさんの人に広めてくれ。…ん?ファンサしろ?
仕方ないなあ。…これからもフォローよろしく頼むぜ!ってことで今回の動画はここまで。あばよ」
「…疲れた」
大庭さんは一気に力が抜けていた。サングラス投げ捨てる。
「お茶どうぞ。チョコレートもいる?」
「もちろん!」
疲れたって言ってる割に声出てるじゃん。
「車がこの敷地内に入ったらしいぞ!山のふもとグループからの連絡さだ。皆、定位置についてくれ」
「分かった、
定位置は今日決めた。私は三階担当。最上階で、奴ら(へファイトスの…は長いので奴らにした)を必ず捕らえなければいけないから、最も重要だ。圧がかかるなあ。
『奴らがここに来るまで、後五分も無い!』
『全員隠れろ!』
私は急いで近くにあった段ボール箱で身を隠した。
「ここか。俺達に反旗をひるがえしている奴がいる所は」
「そうらしいです。とっとと捕らえましょう」
武居さん電話が入った。彼は一階に隠れているのだ。
『男…若者、五人だ。黒い上着を着てる奴が五人いる。
今このコテージじゃなくてスイートピー②に入って行ったぞ!正面入口から。
今は一階の全ての照明を落として真っ暗にしてある。段ボール箱や木の板の散らかしバリケードに奴ら手こずっているらしい。あれは…皆で持って来たゴミをあるだけ散らかしただけだけだし…』
思ったよりも
高妻さんと武居さんは、スイートピー②の外の窓から観察する係だったから、しっかりと中が見えているんだった!
『あれ?誰か一人先に行ったらしい。…違う。奴らは五人のままだ。もしかしたら誰かここに来ちゃったのかな…。お!よし!奴らを二人捕まえたよ!
制服のベルトはそういう使い方をする物じゃないよ!ってか長さは足りたのかな…。高妻さん。教えて下さい。
『六人のベルトをつなげれば、長くなるんだね!』
高妻さん達の中継はここで終わった。
「残り三人か…。二階組、準備は終わったか?」
『もちろんですよ!』
誉はすっかり気分は隊長!になってる。
「武居さんがさっき言ってた誰かって誰だろう」
私はやたら気になっている。[誰か]。誉は困った顔をした。
「分かんねえ。少なくとも、へファイトスか奴らと関係がある人物なんじゃないかな」
「関係がある…か。直接会ったことがあるとか、そんな感じ?」
「今の所…その[誰か]はこのスイートピー②の中にいるけど、誰も見つけてないんだよね。悪いことしてる訳じゃないし、気にしなくていいんじゃないかな」
「優太君が言うんじゃそうかもしれないよ」
ここでの優太君はとても頼もしかった。自分の意見をはっきり言って、細かい所まで気を配れて、何よりエネルギーで満ち溢れている。とても年下とは思えない。
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