第10話

 ・・ぶっちゃけ作法の授業って聞いた時舐めてました。

 はんっ、所詮5歳児向けの授業、精神年齢16+5歳の私からすれば5歳児に求められることぐらい余裕、余裕。できないわけがないとか思っていた馬鹿は私だ!

 

 まず、初っ端の歩き方から挫けた!


 「猫背になってる。足を下ろすときは足指から地面に着けて、膝を曲げない!孔雀の求愛ダンスの様に美しく!」 

 ひぃいい、出来の悪い生徒でごめんなさいぃ。

 「次回は少し踵の高い靴を履いて練習しますからね」ひぃいいぇええ

 ・・・クレア先生はスパルタマナー教師でした。


 はぁはぁ。もう歩けない…足も心も挫けそう。「クリスティーナ様!あと五往復。この部屋の周りを歩きましょう!」うええぇ。くっ最後の根性振り絞れ。ど根性おおおお!



 


 ゼェゼェ。やっと終わったぁ。やり切ったよ、私!見た?私の勇姿を!「お嬢様。お疲れ様でした。」あれ?クレア先生は?「そのぉ、、」マーヤが珍しくどもってる。

 「定時になったので帰られました」えええええ、

 心が折れる音がした。

 「きっと!このあとご予定があったんですよ。クレア様はあちこちで引っ張りダコですから」

 「・・・・」いや、いいんだよこれで。クレア先生にもプライベートな時間は必要だよ。前世では辛い仕事環境に耐えきれず思い詰めた方がたくさんいた。でも働く人はこれくらい強い心を持って、なんとしてでも定時を過ぎたら好きな時間に帰るべきなんだ。それが正しい。てか前世働いた経験もない私からしたら皆んな、少なくとも私より偉い。

 そして、マーヤ、非常に悪いんだけど歩けないからおんぶして。

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