リリー・アスセーナとして異世界に転生した主人公は、運命に抗うために意外な行動を選択します。それは「男装」。このユニークな発想が本作の魅力です。
物語は、主人公がある学園の世界に転生したことを自覚する場面から始まります。彼女は悪役令嬢としての自分の立場を理解し、その対策として大胆な決断を下します。そこから始まる学園生活は、予想もしない展開の連続で、読者を惹きつけて離しません。
王子であるシルヴァ・ワトルは、王族としての気品を持ちながらも、同世代の友人を求める少年らしさを併せ持った人物です。彼と主人公の関係は、最初は軽い交流から始まりますが、次第に変化していく様子が繊細に描かれており、読者としても胸が高鳴ります。
レックス・フローレンスやネモ・メンジェシーなど、個性的なキャラクターたちも物語に彩りを加えています。
乙女ゲームの世界観を巧みに活かした設定とユーモア。攻略対象であるはずのキャラクターたちとプレイヤー視点を持つ主人公の絶妙な距離感が、予測不可能な展開を生み出し、物語を面白くしています。
本来のストーリーを知っているからこそ、どのように立ち回るべきかを考えながら奮闘する姿は転生乙女ゲームものの醍醐味。「もし自分だったらどうするか」と考えながら楽しめます。
物語が進むにつれ、主人公と周囲の関係性が深まることで、彼女(彼?)の心境にも変化が生じます。これまでとは異なる視点で世界を見るようになり、新たな可能性が広がっていく様子が丁寧に描かれており、その成長を見守る楽しさを感じます。
運命を変えるために選んだ「男装」「友人キャラ」という選択が新たな物語を紡ぎ出していく展開は、読者にとっても驚きと感動を与えるものとなっています。物語がどんな結末を迎えるか、ぜひその目で確かめてください。