第9話

「それじゃぁさっそく主従契約をやってしまいましょう。難しいことはありませんので、稲荷の額に頭を合わせるとお互いの力が流れて頭の中に言葉が浮かんできます。裕二さんはその言葉を慌てず口にしてください」


 やり方が簡単みたいで良かった。面倒な手間がかかると出来るか不安だったし


「稲荷は裕二さんに流す力を一定にすることだけを考えなさい。いくら裕二さんが力に目覚めたばかりでも無意識下で力が逆流したら大変な目に合うのは稲荷あなたですからね」


「がっ頑張ります。裕二さん、裕二さんはリラックスして私に身を委ねてくださいね。私頑張りますから」


「わかった。稲荷ちゃんに身を委ねるから一緒に頑張ろう、これからは稲荷ちゃんのご主人としてふさわしくなれるように俺も頑張るから」


 一息ついてから稲荷ちゃんと向き合いゆっくりと顔を近づけていく


稲荷ちゃんの肌本当きれいだし顔もかわいいな、女の子の顔をこんなそばで見ること無いしやっぱり照れちゃうよな。


 あわわっゆ裕二さんの顔がどんどん近づいてきます。大丈夫かな?変なとこないかな?これから裕二さんがご主人様になるんだからどんなふうに呼んだらいいんだろう?やっぱりご主人様呼びが正しいよね。あっ裕二さんの額がきたっ、あったかくてなんだろう落ち着くな。いやいや、落ち着いたら駄目だった、私から裕二さん力を流し込んでいかなきゃ


「さっ裕二さんどうですか?なにか感じたりしますか?」


「はいっなにか温かいものがゆっくり体の中に流れ込んできていてあっこれかな?ちょっと待ってください」


 俺は自分の中に流れ込んでくる力を感じながら意識を集中する。


「我ここに主従の契約を結ばん、汝に流れし力に我が力を流さん。汝力を求めし時我に求めよさすれば汝にさらなる力を与えん。ここに契約をなす主たる裕二が従者稲荷に祝福を」

 頭に流れた言葉を唱えた瞬間、俺と稲荷ちゃんを光が包み込み光が落ち着くと稲荷ちゃんの腕に先ほどまでは無かった腕輪があった。


「二人共お疲れ様これで契約は完了よ、その腕輪は契約が成功した証ね。いずれその腕輪の使い方もわかるから稲荷はその腕輪を大切になさい」


「裕二さんからの初めてのプレゼントですね、私大切にしますから。肌見放さず持ちます」


 正直俺がプレゼントしたものじゃないので反応に困るがいずれちゃんとプレゼントをしてあげようと考えた。


「それじゃぁ裕二さんには主として稲荷ちゃんの力をまず認識してもらい人型の姿を固定してもらいましょう。今の裕二さんなら稲荷ちゃんの力を触れなくても感じ取れるはずです。感じ取ったら人型の姿を意識してそれを固定なさい。感覚でわかるはずよ」


 俺は自分の中に意識を集中して稲荷ちゃんの力を感じ取る。すると頭の中に完全な狐の姿と尻尾と耳が生えた姿に尻尾も耳も無い人の姿の稲荷ちゃんが浮かび上がった。そのまま人の姿の稲荷ちゃんを思い浮かべて固定と念じると稲荷ちゃんに生えていた耳がと尻尾が消えて完全な人型の姿になった。


「完璧ですね、これで稲荷は裕二さんが許可しない限り尻尾や耳は生えてきません」


「良かったよ〜 これでずっと裕二さんのそばに居れるんですね」と目に涙を溜めながら抱きついてくる稲荷ちゃんはとてもかわいく見えた。


(は〜良かった。これで裕二さんに稲荷ちゃんを一緒にさせることが出来る。稲荷の命の危機を感じて探した時にはすでに裕二さんの力で危機を脱するどころか力が増している感じでしたし。変化が甘くなったのも裕二さんからの力を受け力の制御が無意識の範囲で厳しくなったからでしょうね。稲荷は、仮にも私の娘であの厳しい修行を乗り越えてきた娘なんですから。裕二さんの力は扱いを間違えれば毒にも薬にもなるものですから早めに裕二さんの身辺を調べましょう。私の感が正しければあの人の血を継いでいるはず、懐かしい気配も感じましたし。さっ次は生活の基盤を整えるとしましょう。やることはいくらでもあります)

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