scene2 : 教室、休み時間


休み時間、友達に用事があってやって来た5組の教室に、女のヤンキーが三人たむろしてて…しかもそのうち一人は茜だった。

こうしてみると、あいつがヤンキーだって思い知るな…。


「教科書はい。ありがとね」

「うぃー」

「―――おっ!」


友達に教科書を返して帰ろうとしたところで、茜が俺に気づいた。

茜は周りを見渡してから、ジェスチャーを振ってくる。外に出ろ…?

何人かの視線がちょっと気になる中で外に出た後、一緒に来た茜が言う。


「連絡先交換してなかったやろ? 交換しよーや」

「ああ、そっか。りょ」


いや周りの目が気になる…!

なんか変な感じで見られてるんだろうな…あー知り合いが見ながら通り過ぎてった…後で聞かれるかもなこれ…


連絡先交換はあっけないほどパッと終わって、軽く挨拶して茜が帰っていく。


で、案の定、今のを見てた友達が気になってそわそわしてた。


「鈴木、お前…大場茜おおば あかねと知り合いなの?」

「あ〜……まあ…」


あいつの苗字、大場おおばっていうんだ? “アカネ” 呼びから ”大場” 呼びに変えるか…?


「大場とかドヤンキー女じゃん…こわぁ…。善良マンの鈴木とあの大場が…どんな関係なわけ?」

「まあ……、そう思うよね…」


やっぱりヤンキーってことで知れ渡ってんだ?

今更だけど、そんな人から、全く接点無かった俺が…なんで話しかけられたのか、謎だよね…。

なんで俺だったんだろ…?

朝園とは知り合いだったけど…


ってことは…

もしかして朝園が俺のこと推してくれた…?

え…そうじゃね?

そうだったらヤバいぐらい嬉しいんだけど!?

いや、でもそれしか無いよね!?


「…大場とどんな関係って? 自分でもよく分からないわ。ははっ!」

「いやこっちの方がもっと分からないんだけど…?」


やっぱり今更 ”大場おおば” って呼ぶのもしっくりこないし、まあ…呼び方は “アカネ” のままでいっか?




次の休み時間になると、早速、茜から連絡が来てた。

今日の放課後用事はあるか? って。


「別にない…っと」


あ、そうだ…茜の連絡先は教えてもらったけど朝園の連絡先はまだだわ。

ってことは、朝園に連絡先聞けるじゃん!

よっし…次会ったら朝園に連絡先教えてもらおう…

は〜〜〜、ニヤけちゃうな…

ドキドキする……


えっと、茜からメッセージ返ってきてるわ。

…えっと…学校終わってちょっと後か…駅の駐輪場に集合… ね。


この前なんだかんだあって入ったあの謎のクラブの活動として、今日はミーティングをやる予定らしい。

俺の初めてのクラブ活動かぁ…。

結局のところ、入ったクラブの事とか全く分かってないけど…こういうのなんかワクワクするよな…


「駅に集合してからどこ行くの? …っと…」


朝園も来るかな…?

どうしよ、時間的には着替えれなくもないけど…もうちょっとキレイめの服にしてこよっかな…?


それからすぐ後。また茜から返ってきたメッセージは、放課後をさらに待ち遠しくさせるのにかたくなかった。


「えーっと? 放課後皆で集まって行くとこは……」



「…『秘密基地✌』…………?」




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