第13話 意外と悪くない

 まずは足からボディースーツの中へ通し履いてみる。意外に締めつける感じはなく、肌と一体化してるような軽い履き心地に多少驚いた。


 美月麗羽の予想では水着のような締めつけられるような着心地だと思っていたので良い意味で裏切られた感じだ。

 それに何よりノーパンで過ごしていた先ほどまでとは安心感が段違いだ。

 ヒラヒラと揺れるスカートの中が無防備だったことがどんなに心細かったが改めて実感する。


 それでもまだ服としての認識までには至らないボディースーツなので、スカートを脱ぐには抵抗がある。

 美月麗羽は迷ったがスカートの位置を少しずらして脱がない選択をした。だけれど、上半身はそうはいかない。

 他人の部屋で着替えるとはなんとも気恥ずかしい。美月麗羽は誰もいないのはわかってはいるが今一度部屋の中に自分1人だけなのを確認して上半身に身につけている衣服を全て脱いでいく。


 そして、ボディースーツに腕を通し、前面にあるおへその辺りからあるチャックを引き上げる。


(チャックってこの世界にもあるんだ)


 そんな小さな疑問を軽く受け流して、腕の部分の生地を摘んで持ち上げてみた。

 このボディースーツは伸縮性に優れておりゴムのようによく伸びる。その割に締めつけはないし肌に吸い付くような軽い着心地は近未来的でもあるように感じた。

 でもまぁ、その理由から体のラインがしっかりと出てしまうのだが、美月麗羽の感想としては『意外と悪くない』である。布面積が全身に及ぶため、水着よりも恥ずかしさはなかった。

 それよりも、逆にこの世界での衣服とはコレのことだと知り、自分の感覚はさておき、周りからの目は服を着ずにアクセサリーを身に纏う少しエッチな女の子として見られる事の方が恥ずかしくなっていたのである。


 文化の違いと言えばそれまでなのだが、認識のズレは思わぬ誤解を生みかねない。やはり郷に入れば郷に従うべきところはあるのだと実感した。


 美月麗羽は全身鏡を見てようやく、コレが服だと認識できるようになった。想像していたような全身タイツを着た可笑しな自分になる事はなく、競泳水着を着用しているようなスタイリッシュさを感じられた部分も大きい。

 それに何より着心地と良い、全身を覆っている安心感も悪くないどころかクセになりそうでもある。

 マスクを常時着用していると、素顔を曝け出すのが妙に気恥ずかしくなるものだが、このボディースーツも一度着慣れてしまえば脱ぐのが恥ずかしくなるのかもしれない。


 美月麗羽は先程脱いだ下着を手に取りもう一度着用しようとして固まる。

 しばしフリーズの後、ブラジャーをボディースーツの上から着用してみた。


 鏡に映る自分がすごく変態な女にみえる。


 日本の常識からしても服の上からブラジャーは流石にない。その違和感を無視するには美月麗羽の変態レベルが圧倒的に不足していた。


 美月麗羽はブラジャーを外し、下着らしくボディースーツの中に着てみた。

 正面の生地は厚くなっているので気にならないが背後の方には下着のラインがハッキリくっきりっと浮かび上がる。

 あまりに鮮明なため、下着姿を見られてるような違和感が拭えない。

 水着姿を見られるのと、下着姿を見られるのは後者の方が恥ずかしいのは間違いない。美月麗羽は下着を着用する事をあきらめて、制服を着直す。


 ボディースーツ+制服のコンビネーションは美少女戦士的なコスプレ感が発生してきたが、美月麗羽の常識と認識は段々とバグり始めているのだった。


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おならの王国 シルア @SILA

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