第21話 忘れるあほ

たけしの最後の言葉を聞き、残されたメンバーはけいたろうのことを思い出していた。

実はけいたろうは死んでいなかった。用事があったので体調不良ということで、館をこっそり抜け出していたのだった。そんなことを知るはずもないメンバーは、けいたろうを心配するのだった。


富士まん「けいたろうを探しにいかなくていいのか?」


コンドーム「でもたけしの葬式があるし、忙しいからな」


破廉恥「みんな喪服は持ってるのか?」


墜落「俺はズボンの方を2枚しか持ってないんだよな」


破廉恥「なんで上がないんだよ」


富士まん「俺はズボンの片方の足が切れたやつと、上を持ってるんだよな」


墜落「なんなんだそのズボン」


コンドーム「実を言うと俺は上を2枚しか持ってないんだよな」


破廉恥「じゃあ、俺は足にギブス巻いてるし、富士まんの片方の足切れたやつとコンドームの上を一着借りて、富士まんは墜落から一枚ズボンを借りて、コンドームは墜落からズボンを一枚借りたらいくんじゃない?」


墜落「俺ズボンなくねぇ!?」


富士まん「まあいいだろうそうしよう。」


墜落「俺ズボン貸すだけじゃねぇ!?」


こうたろう「おれのっ、おっ、おれのぶんっは?」


一同「こうたろう!」


富士まん「こうたろう!どうしてこのタイミングで目が開いたんだ!」


墜落「いいだろ!!そんなことは!!良かった!!生きてたのか!!!」


コンドーム「明日、たけしの葬式があるから、こうたろうも来いよ。」


こうたろう「た、たっ、たけし、し、し、死んだのか?」





こうたろうは、たけしの死を聞かされ、安堵した。これでもう、ゆうじろう探しをされない。やっとゆうじろうの呪縛から解放されたのだった。


高校生の時についてしまった嘘で始まったゆうじろう設定。ある時はこうたろうとして遊び、ある時はゆうじろうとして会っていた。今思えばいったい何をしていたんだろう。あまり考えたこともなかったが、よくよく考えてみればたけしにひどいことをしていたのかもしれない。ゆうじろうの日はアイプチするのが決まり。カラオケに行ったら、こうたろうの日は裏声を多用し、ゆうじろうの日は地声で高音を出す練習をするため女性歌手ばかり歌うという設定までしていた。


詐欺師だった。


たけしから借りたゲームをなくしてしまい、ゆうじろうに又貸ししたら返ってこなくなったことにして、ゆうじろうは借りてないことにして、うやむやにしたこともあった。


本当に悪いことをした。





しかし、こうたろうにはなんともいえない違和感があった。


なんなんだろうかこの違和感は・・・




その違和感を深掘るほど、作者の作品に対する熱意は


なくなっていた。

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