第11話
―ここか!?俺に似た男を見たという森は!
―……あ!見つけたぜ!!
―あんたが俺の遠い親戚か……。行方不明になって15年以上経っていたらしいじゃないか。大丈夫?話せる?
―えっ、言葉が分からないの!?まさか、あんた……この鳥たちと一緒に住んでたの?マジ!?
(……ルノルド・エル・レアンドロ)
鳥に育てられた男、ラトレル・エル・レアンドロは5年前にルノルドに森で救出された。彼は鳥と共に森の中で暮らしていたのだ。
救出されてからはルノルドやエリヤスと暮らすようになったが、ここ一年ほどはルノルドの仕事が忙しくなったため別の親戚のところに預けていたのだ。
「すんすん……うっ、なんか変なにおい」
「ルノルドの体のにおい。安心する」
「そ、そう?」
ラトレルにとってルノルドは大切な存在である。そして鳥はとても愛情深い。
ラトレルは魔鳥族であり、更に鳥に育てられた過去から……ルノルドにたくさんの愛を感じ、伝えたいと思っているのだ。
「……何やってるの?」
ルノルドの声に驚くリイコ。ルノルドの服を嗅いでいるところを見られてしまった。
「こ、この人が、ルノルドの服が良いにおいって言うから気になっただけ!」
「良いにおいではない」
「えっ」
「私は安心するにおいだ」
「……。ラト、その服を返してこの服を着ろ。命令だ」
「命令には従う」
ラトが新しい服を着る。これでリイコも安心出来るだろう。
「で、あんた……なんでここに来たの?」
ルノルドの機嫌が悪い。あと一歩のところで大怪我をするところだったのだから当然だが。
「ルノルド・エル・レアンドロに会いに」
「ほ、本当にそれだけェ?」
こくりと頷く。
「まあ……あんたのおかげでチンピラは追い払えたが、ね」
「私が役に立ったのか?」
「うん」
「……!」
バサバサバサッ!!!白い翼が大きく上下する。辺りに羽根が飛ぶ。
「やめろそれ!!迷惑だから!」
「……!すまない」
(あ、甘やかし過ぎたかねェ……)
「でも綺麗……これ、何?」
リイコがラトレルの真っ白な羽根を拾う。
「何って、鳥の羽根だぜ」
「鳥?……翻訳機にかけても分からない」
「あんたの大陸には鳥はいないの?」
「多分。同じ存在を表す言葉がないから分からない」
ルノルドが驚く。リイコの出身大陸には鳥がいないのか。
「綺麗。ルノルド、これなんてすごく大きい!」
「本当だな」
リイコがルノルドに羽根を手渡そうとする。それをラトレルが制止した。
「何で止めるの?」
「求愛行動……」
「はあ!?」
ルノルドが大きな声を出す。
「立派な羽根を渡すのは求愛行動の一つ。お前……」
レトラルがリイコを睨む。
「ルノルド・エル・レアンドロの番になることを望むか?」
「の、望まない望まない!!」
リイコが悲鳴のような声を上げて否定する。
「なっ!?お、俺だってあんたとなんて嫌だね!というかこれは無効だろう!リイコの羽根じゃあないんだからな!」
「た、たしかに!そうだよね!」
「ああそうだぜ!そうに決まっている!」
「ふう、安心。私はルノルド・エル・レアンドロの番になれないらしいが、番になることを望む鳥は多い」
「……へっ?」
ルノルドが素っ頓狂な声を出す。
「ふふ……」
ラトレルの静かな笑い声。ルノルドもリイコも、これ以上首を突っ込むことは出来なかった。
「私もルノルド・エル・レアンドロと共にそこへ行く」
「えええ……」
ルノルドとリイコがストワード中央に行くことを知ったラトレル。迷わずに同行することを決めた。
「ルノルド、この人強いし、飛べるし、良いんじゃない?」
それに綺麗だし。と付け加える。リイコは羽根が気に入ったらしい。大きいのは集めるのをやめて、小さいものを手に持っている。
「リイコが良いなら良いが、ストワード中央までだぜ?というか、あんた多分そこから来たよね?そっちの親戚の家に預けていたはずだが」
「……帰巣本能」
「一年も預けていたんだから、そっちの家に帰れるようになって欲しかったぜ……!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます