第9話 私を変えてくれた
だから、私を変えてくれたアオちゃんが、私を必要としなくなるまでそばにいる。そう決めたのだ。
アオちゃんは人気者だから私が必要なくなったら、離れていくだろう。でも、アオちゃんは優しいから、私が一人の間は私から離れられないかもしれない。
――どうしたらいいんだろう。私にはアオちゃん以外は必要ないのに。
考えだしてしばらく経つが、答えはでない。
「きはね〜。一緒におひる……」
お揃いのランチバックを持って、遠い席からアオちゃんがいつものように声をかけてくれる。けれど私を囲む彼ら彼女らはアオちゃんを私の視界から消すように立った。
「遠海さん、今日は私たちと食べない?」
声は明るくて、親切そうだ。でも、私を見下ろす目は、あまり好意的ではない。
アオちゃんの返事を聞かなければ。彼ら彼女らを避けてアオちゃんを見る。少し寂しそうに微笑んで手を振るアオちゃん。
「アオちゃんも……」
言いかけた私に、アオちゃんはすぐに嬉しそうに微笑んだ。
「良いよ。気にしないで貴羽」
困ったようにランチバックを見る。
「じゃあ蒼乃は私たちとお昼食べよう?」
休み時間に、よくアオちゃんと話をしている子たちがもう声をかけていた。
「たまには蒼乃と一緒にお昼食べたかったんだ〜」
と穏やかな会話が広がっている。
私も、そろそろ彼ら彼女らをなんとかしないとアオちゃんの邪魔になってしまう。
「わかりました。行きましょう」
あまり良い雰囲気ではないので、アオちゃんが作ってくれた大切なお弁当はそっとスクールバックに押し込んだ。
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