第15話 月とのコロッケづくり その2
ジャガイモをレンジで調理している間、豚の引き肉と玉ねぎを炒め終わる。
以前、ちょっとネットでレシピを調べたら、玉ねぎもひき肉も、生のままで
作る方法もあった。
でも、わたしはお母さんから、教わったとおりに炒める作り方をした。
「月ちゃん、フライパンをとる、ちょっとずれてくれるかな?」
「はい……」
2人では狭い台所なので、月ちゃんと場所を入れ替わる。
フライパンを火にかけると180度に設定して温まるまで待。
フライパンが180度まで温まった音したら、ひき肉を炒める。
ひき肉が音と香を立ててながら、手際よく炒めるけど軽く塩コショウもする。
そぼろにする訳ではないから、そんなに炒めなくてもいいし
炒め過ぎたら逆にぱさぱさになるからタイミングを見極める。
「こんな物でいいかな」
火がちゃんと通りつつ、程よくうま味が残っている程度になったから火を止める。
「月ちゃん、悪いけどお皿をとってくれるかな?目の前にあるのでいいから」
「わかりました……」
月ちゃんにひき肉を移すお皿をとってもらうと、炒めたひき肉を移す。
「月ちゃん、ありがとう」
「いえ……これぐらいしかできませんから……」
「それでも十分だよ」
「さくらさんがそう言うなら……うれしいです……」
月ちゃんは照れて目線を逸らすけど、これだけで喜ぶ月ちゃんも可愛いな。
次は玉ねぎを炒めるけど、あえてひき肉を炒めた油でいためる。
こうすると、肉のうまみが玉ねぎに移ると……事にしてるけど、実は順番を間違えただけ。
先にひき肉を炒めちゃったけど、先に玉ねぎを炒めた方が良かったかな。
でも、やっちゃったものは気にしても仕方がないしね。
「月ちゃん、玉ねぎが入ったボールをとってくれるかな?」
月ちゃんに玉ねぎのみじん切りの入ったボールをとってもらう。
ただ、月ちゃんは温まって、強くなった玉ねぎの香りがちょっと嫌みたい。
「玉ねぎの香りが苦手?」
「はい……目にもしみますし……」
「温まると余計にだけど、仕方がないからね。でも、火を通すと甘くなるから」
「わかりました……」
月ちゃんは甘くなると聞いて頭に?浮かんでるけど、野菜は甘くなるからね。
特に玉ねぎからいい甘みが出る。
でも、コロッケ用だからそこまで炒めないけど。
「コロッケに入れるからそんなに炒めないけど、玉ねぎは良く炒めたり、
揚げたりすると、果物みたくすごく甘くておいしいよ」
「そうなのですね……」
「新玉ねぎの時期はちょっと過ぎちゃったけ、新玉ねぎは本当に甘いよ」
「そうなんですか!?」
お菓子ぐらい甘いと聞いて、月ちゃんはそれに食いついた。
新玉ねぎは柔らかくて、揚げるとか果物みたいな甘さにになる。
食べたらきっと月ちゃんも好きになるとは思うけど、また来年かな。
「でも、今年はちょっと時期が過ぎたから、また来年かな」
「来年ですか……」
「それまで、一緒に居てくれるかな?」
「……もちろん、さくらんと一緒にいます……来年と言わず……ずっと一緒に居たいです」
月ちゃんはそう言って頬を染めてるけど……これってまるで……。
いやいや、ずっと仲良く友達でいたいって意味で、そんな意味はないよね……多分。
ただ、その言葉を聞いて、わたしの鼓動早くなり、顔が熱くなっているのを感じた。
「それはわたしだもよ。そ、それじゃ、玉ねぎを炒めるから、ボールを貸してね」
「わかりました……」
月ちゃんからボールを受け取ると、玉ねぎを炒める。
炒めると、香りが強くなり、目にちょっと染みるけど、換気扇を回してしばらくすれば大丈夫。
でも、月ちゃんは
「目がしみます……」
と言って、袖で涙を拭いてるけど、ハンカチかタオルを貸しても良かったかな。
でも、今更遅いというか……月ちゃんはハンカチを持ってないみたい。
「月ちゃん、ハンカチは持ってないの?」
「ありますが……出すのが面倒です……」
「そうなんだ……そろそろ玉ねぎがいいころだからあと少し我慢してね」
わたしは火を止めるけど、ハンカチは持ってるけど何時もの面倒なだけだったか。
でも、わたしが頼んだ事はしてくれるし、月ちゃんは涙を流しながらも玉ねぎを移すお皿も取ってくれた。
「ひとまず、これでよし。あとはジャガイモが調理できるだけかな」
電子レンジで調理しているジャガイモももうすぐ出来上がる頃かな。
むしろ、コロッケづくりはこれからのジャガイモ作りにかかっている。
というか、一番の難関でもあるんだよね。
何が難関だというと……そう、それは皮むき。
レンジから出して熱いのうちに皮をむかないとならない。
ただ、これがとても熱いけど、何であんなに熱いんだろうね。
電子レンジが出来上がった音が鳴ると、ここからは時間の勝負。
「月ちゃん、悪いけど端に寄っててね」
「はい……」
月ちゃんは、邪魔にならない位置に避けると、わたしは電子レンジを開けて容器をだす。
そして、容器のふたを開けると、蒸気があがるがこれがとても熱い。
熱いのはジャガイモそのものよりも、蒸気が熱いみたい。
もちろん、ジャガイモ自体も熱いんだけど、とにかく皮をむく。
厚手のミトンを用意してジャガイモを掴み、熱いのを我慢して素早く皮をむく。
熱いけど、するっと皮を剥けるのはちょっと気持ちがいい。
向いたジャガイモはボールに入れてい、後でつぶす。
とにかく、今は熱いうちに皮を剥くだけ。
「あの……わたしも手伝いたいです……」
月ちゃんが手伝いたいというけど
「悪いけど、熱いうちに向かないとならないから、月ちゃんは見ててね」
と答えたけど、月ちゃんはちょっと悲しい顔をしたので
「でも、2人でやった方が早いから頼むかな」
と言うと、月ちゃんの表情が緩んで
「はい……」
と返事した。
月ちゃんは厚手の布巾でジャガイモを持つけど
その瞬間熱いと言ってすぐに手を離した。
そして月ちゃんはわたしが言っていた事を理解すると
そっと付近を置き、後ろで素直に見ているだけにしたのだった。
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